過去最高を更新した2005年上半期のブロイラー輸出


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 生産量は前年同期比8.9%増 ● ● ●

 ブラジルブロイラー用ひな生産者協会(APINCO)によると、2005年1〜6月のひなふ化羽数は、前年同期比8.3%増の22億4,630万羽となった。州別に見ると南部地方のパラナ州が全体の21.7%を占め、サンタカタリナ州、南東部地方のサンパウロ州が続いており、これら3州で全体の6割を占めている。
 また、生産量(骨付きベース)は前年同期比8.9%増の442万トンとなり、このうち、29.8%の131万6千トンが輸出に向けられ、国内供給量は残り70.2%の310万トンとなった。国内供給量は前年同期比5.2%増の一方、輸出量は同18.5%増と、生産量の伸び率を大きく上回っている。

ひなふ化羽数の推移

資料:APINCO


● ● ● 対日輸出量は前年同期比27.5%増● ● ●

 世界の主要生産国で発生した鳥インフルエンザの影響は継続しており、ブラジル産鶏肉の需要をさらに高めている。ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2005年上半期の鶏肉輸出量(骨付きベース)は前述のとおり、前年同期比18.5%増の131万6千トンとなった。輸出額は平均輸出価格の上昇により、同23.1%増の14億4,617万ドル(1,620億円:1ドル=112円)であった。平均輸出価格は1トン当たり1,099ドル(123,088円)と前年同期の同1,058ドル(118,496円)に比べ3.9%高となっている。このうち、加工肉の輸出量は前年同期比71.1%増の35,455トン、輸出額は同61.4%増の7,554万ドル(84億6,048円)となり、業界が力を入れている付加価値製品の輸出が進んでいることがうかがえる。平均輸出単価は1トン当たり2,130ドル(238,560円)となった。

 主要な輸出先を見ると、丸どり主体のサウジアラビアが前年同期比13.3%増の17万7,495トン、輸出額は同20.3%増の1億8,415万ドル(206億円)、平均輸出価格は同6.3%高の1,037ドル(116,144円)、パーツ主体の日本の輸出量は同27.5%増の18万9,011トン、輸出額は同29.7%増の3億512万ドル(341億7千万円)、平均輸出価格は同1.6%高の1,614ドル(180,768円)となった。

 2004年11月に衛生条件を締結した中国への輸出は本格的に動き出している。また、韓国も3月にブラジル産鶏肉の輸入を許可し、技術ミッションによる輸出施設の認定も行われ、今後1年間で8万トンが輸出されるものと期待されている。

 なお、これまで主要市場であったアルゼンチンは、国内生産を増加し、自給体制を整えているため、2000年には2万5千トンであった輸出量は現在1千トン以下となっている。

 また、5月に中西部のマットグロッソドスル州で発生した鳥の疾病も低病原性ニューカッスルウィルスであることが確認され、輸出に影響を与えることはなかった。

国別輸出量の推移

資料:SECEX


● ● ● 2005年の輸出量は前年比10%増の見込み ● ● ●

 ブラジル鶏肉輸出業者協会(ABEF)では、アジア諸国の鳥インフルエンザ問題が依然として終息しないことから、年間の輸出量については前年比10%増と見通している。こうした状況を踏まえ、飼料用原料の豊富な中西部地方への鶏肉処理加工施設の進出が相次いでいる。ブラジル最大のペルディゴン社では、ゴイアス州に新たな処理工場を建設している上、6月にはマットグロッソ州の加工施設の買収を行い、この買収により、同社のブロイラー処理能力は6%増加すると予想されている。また、サディア社でも昨年12月に内外の需要増加に対応するため、連邦直轄区での工場買収を行っている。


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