生産者価格上昇、市場価格は上げ止まり


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 生産者販売価格上昇 ● ● ●

 タイ農業経済局発表のブロイラーの生産者販売価格は鳥インフルエンザ発生後、昨年4月には一時生鳥1キロ当たり34.3バーツ(93円:1バーツ=2.7円)まで上昇したものの、その後下落傾向で推移し昨年11月に底値である22.9バーツ(62円)になった後、上昇に転じ、5月現在、疾病発生後の最高値である38バーツ(103円)となっている。

 一方ブロイラー用初生ひなのふ化羽数についても増加傾向で推移しており、5月のふ化羽数は6千2百万羽、商務省国内取引局発表の初生ひな価格は1羽当たり13.2バーツ(36円)となっている。
商務省発表のバンコク市場における生鳥卸売価格については、輸出仕向け品と国内仕向けの価格差があることなどから農業経済局発表の生産者販売価格とは単純に比較することはできないが、おおむね並行した価格の推移を示している。

ブロイラー生体価格の推移

資料:卸売価格はタイ商務省、生産者販売価格は農業経済局


● ● ● バンコク市場価格は上げ止まり● ● ●

 一方商務省発表による5月のバンコク市場のブロイラー卸売価格はと体中抜きで1キロあたり44.8バーツ(121円)と鳥インフルエンザ発生後では昨年4月の最高値と並んでいる。小売価格についても同様に同57バーツ(154円)と、疾病発生後最高値を記録した。昨年11月以降上昇傾向で推移してきた市場価格であるが、ブロイラー卸売価格とともに価格の上昇は緩やかになっており、ほぼ上げ止まった感がある。

バンコク市場ブロイラー価格の推移(と体中抜き)

資料:タイ商務省


● ● ● 鳥インフルエンザの新規発生続く ● ● ●

 政府は通称「X線プログラム」と称される鳥インフルエンザウイルスの能動疾病監視を定期的に行っており、8月26日付けのOIE(国際獣疫事務局)への報告によると、
この能動疾病監視の結果、バンコク近郊の中部スパンブリ県および北部カンパンペット県でそれぞれウイルス陽性反応が確認されたと報告されている。また、これらウイルス陽性摘発は主に地鶏、闘鶏用家きん、ブロイラー、ガチョウなどで開放型鶏舎もしくは庭先養鶏とされている。

 なお畜産開発局は現在、闘鶏用家きんに対するまん延防止策として、内務省との協力により全国25カ所の闘鶏場のウイルス検査を行ったほか、移動に際しては健康状態を記録した証明書の携行が義務づけている。また今後は2カ月ごとに抽出検査を行うこととしている。

 疾病清浄地域またはコンパートメントの確定により早期の輸出再開を望む同国は、主要市場の一つであるEUの専門家を招へいし、実態調査を依頼した。EU側のコメントによると、(1)企業ごとに異なる衛生基準の統一が必要であること、(2)コンパートメントの外側に配すべき緩衝地帯は少なくとも300メートルとすること、(3)アヒルの放し飼いを許可している地域(県)についても今後閉鎖型鶏舎による飼養に移行する必要があること−などが指摘された。


元のページに戻る