2012年までの乳製品需給予測を公表


◇絵でみる需給動向◇


 欧州委員会は7月29日、2005〜2012年における欧州連合(EU)の主要農産物の需給に関する中期予測を公表した。これは、2005年5月までに公表されたデータを基にしたものであり、生乳を除く乳製品に係る内容は以下のとおりである。


● ● ● チーズ生産は引き続き堅調に推移 ● ● ●

 EUにおけるチーズの生産および消費は、過去20年以上にわたり一貫して増加を続けている。95年から2004年までの10年間、生産量は約15%増加するとともに、年間の一人当たり消費量も平均で1.5%ずつ増加している。チーズ生産には域内の生乳生産量の4割が仕向けられており、ドイツ、フランス、イタリアおよびオランダの4カ国で生産量全体の75%を占めている。2005年から2012年の期間に、チーズ生産量は、各加盟国の生乳生産量の増加を背景として新たに82万トンが増加するとされる。

 また、EU25カ国のチーズ消費量は増加基調を維持するものの、EU15カ国を中心として従来と比較するとその伸び率は低下するとされる。EU25カ国の一人当たりのチーズ消費量は、2004年の17.0キログラムから2012年の18.4キログラムへ増加すると予測されているが、この中でも、新規加盟国(NMS)は所得の向上や食生活の改善により35%以上の増加が見込まれている。

 なお、共通農業政策(CAP)改革の実施やEU産チーズのブランド化の定着によって輸出需要も増大し、当該期間の輸出量は年間60万トン台を維持すると予測されている。

チーズ需給の推移表

資料:欧州委員会「Prospects for agricultural market in the EU」


● ● ● バターおよび脱脂粉乳生産は減産が続く ● ● ●

 これに対し、バターおよび脱脂粉乳の生産は、生乳の使途がチーズなどの高付加価値商品に向けられる割合が増えてきたことや、2003年のCAP改革によりこれらの品目の介入買入価格が削減されたことから減少傾向が続いている。バターの2012年の生産量は、2005年と比較して10.1%減の191万トン、また、脱脂粉乳も同17.8%減の90万3千トンと大幅に減少すると予測されている。

 当該期間におけるこれらの輸出量も、生産量の減少とともに近年削減され続けている輸出補助金が最低レベルを維持することが予想されることからほぼ半減し、バターは同44.9%減の19万3千トン、脱脂粉乳は同53.2%減の11万7千トンになるとされる。

バター需給の推移

資料:欧州委員会「Prospects for agricultural market in the EU」

脱脂粉乳需給の推移

資料:欧州委員会「Prospects for agricultural market in the EU」

 


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