欧州の家畜食肉団体、WTO交渉への提言書を送付


提言書を欧州委員会などへ送付

 欧州家畜食肉取引業者連合(UECBV)は先ごろ、世界貿易機関(WTO)ドーハラウンドの農業交渉に関する提言書(Position Paper)を公表した。その中で、UECBVは、本年12月の香港閣僚会議における市場アクセスに関する結論としては、明確な約束がなされている包括的な方法(global approach)のみを受け入れることが可能であり、関税の階層(tariff bands)の数の明確化や階層内の品目(tariff lines)の区分に関する議論については、センシティブ品目の取り扱いと関連付けなければ受け入れることはできないとしている。

 なお、UECBVはこの提言書を、欧州委員会の農業総局および貿易総局、欧州農業組織委員会/欧州農業共同組合委員会(COPA/COGECA)などのほかのEUを対象とする団体に送付するとともに、各加盟国のUECBVの傘下団体を通じて各加盟国政府に送付している。


意見の概要

 提言書では、市場アクセスと輸出競争について述べているが、市場アクセスに関する概要は以下のとおり。

(1) 総論

 市場アクセスの総論として、上記のものに加え、以下のように述べている。

 ア 従価税および従量税の継続

従量税の従価税換算は検討のためだけのものであり、関税の削減方式はウルグアイラウンドで合意された譲許税率に基づいて適用されるべきである。


  

 イ 階層内の柔軟性の確保

ウルグアイラウンド方式のような平均の定率削減方式の適用を可能とするためには、特定の品目にかかる関税の階層内において、削減の大きさに柔軟性を確保することが、交渉における極めて重要な要素である。



  

 ウ センシティブ品目

食肉の分野ではいくつかの品目が、センシティブ品目であると考えられる。しかしながら、UECBVは、センシティブ品目に課せられる要件が明確とならないうちは、いかなる最終的見解をも打ち出すつもりはない。





(2) 豚肉

 中期的に見れば、EUの豚肉部門には、生産コストの異なるほかの国からの輸出圧力が増加する。このようなことから豚肉生産に多大な影響が及ぶことを避けるために、十分な保護が必要であり、次の二つが必須である。

  ア 定率削減方式

  イ 要件によっては、センシティブ品目に分類される可能性のある生鮮、冷蔵または冷凍のもも肉などについての慎重な検討

(3) 牛肉

 牛肉は、現在最も保護されている品目の一つであることから、関税の削減が最大となると見込まれる。しかしながら、階層内での削減の大きさに柔軟性が認められれば、牛肉部門の一部をセンシティブ品目と分類することによって大きな関税割り当てを設定するよりも、全体としてよりよい結果となる可能性がある。しかしながらこのことについてはさらなる検討が必要であり、以下のことを提案する。

  ア 牛肉部門にとって、極めて重要な階層内の柔軟性を確保すること

  イ センシティブ品目とすることについてのさらなる検討


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