EU、鳥インフルエンザに関する専門家会議を開催


EUに鳥インフルエンザウイルスが持ち込まれる可能性は低いと判断

 EU各加盟国の専門家からなるEUのフードチェーン・家畜衛生常設委員会は8月25日、アジア地域やロシア(シベリア)で発生している鳥インフルエンザによる影響や、同疾病に対する警戒を高めるための対策の実施に関する議論を行った。

 これによると、渡り鳥の飛行経路などに関する現時点での知見からは、渡り鳥がアジアなどからEUにH5N1型の鳥インフルエンザウイルスを持ち込む可能性はあるものの、その程度は「わずか」または「低い」としている。

 一方、対策については、全加盟国ですでに計画している2005/06年度の監視計画を早急に見直し、同疾病の侵入のリスクがある渡り鳥の飛行経路に沿った渡り鳥のサンプル数を増やすことを推奨している。


屋外での家きんの飼養禁止措置は現在のリスクとは不釣合い

 現在、全加盟国は、EU規則に基づき、鳥インフルエンザが発見された場合、早急に家きんの群を処分することとなっている。同委員会は、いかなる発生の程度であっても、それを制限するかぎは、早期発見および迅速な行動であるとしている。これに関して欧州委員会は、EU規則の改正の提案を作成し、現在各加盟国で議論している段階である。

 オランダ農業・自然・食品品質省は8月22日、鳥インフルエンザ対策として、同日以降、農家が家きんを屋外で飼養することを禁止する措置を実施すると公表した。なお、農家は家きんを小屋に閉じ込める代わりに、動物福祉上の問題発生防止の観点から、防鳥対策が講じられている収容施設を別に設置してもよいとしている。

 今回の措置は、独立した獣医、生物学者および農業の専門家から構成されている委員会からの勧告に基づくものであるとしている。

 このようなアジア地域、ロシアでの鳥インフルエンザ発生に対応していくつかの加盟国で実施している特別な予防対策についても議論を行った。これに関しては、屋外での家きんの飼養禁止措置は、現時点での病気の侵入のリスクとは釣り合わないものであるとしている。しかし、農場レベルで実施されるバイオセキュリティー対策(例:農場間を移動する車両の消毒など)は、全加盟国において再検討は必要であり、地域レベルで実施するリスクアセスメントに基づき、必要な対策の強化を実施すべきであるとしている。このリスクアセスメントについては、渡り鳥の飛行経路や域内の鳥が渡り鳥と接触する可能性のある状況(例:池の存在など)、また、リスクの状況によっては、リスクを軽減する目的でのワクチン接種について考慮すべきであるとしている。


リーフレットなどを通じた情報の提供などを推奨

 さらに、同常設委員会は次のことを加盟国に推奨した。

・農家におけるさらなるバイオセキュリティー対策の改善の奨励および鳥インフルエンザの早期発見を援助する補足的な意識プログラムの導入。例えば、鳥インフルエンザに関するリーフレットや出版物の配布を通じて一般的な病気に関する情報を提供することなどを想定している。

・現在のEU規則に基づく発生予防の早急な再検討および必要であればその改正。これに関しては、感染のリスクがある家きん産業労働者への十分な保護を提供する必要を考慮して実施すべきであるとしている。

・商業用の積荷や旅行者の手荷物などによるいかなる鳥(家きん以外の観賞用の鳥を含む)およびそれらの製品の流入について、EUと第三国との国境での規制を確実にし、EUの規則に基づく条件を満たしたものだけを輸入すること。

 また、同常設委員会は、消費者からの信頼の欠如を防ぐため、家きん製品の適切で信頼できる情報を提供すべきであるとしている。


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