食料銀行ネットワークとの協定に合意 ● アルゼンチン


SAGPyAは食品安全分野を支援

 アルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)は8月3日、アルゼンチン食料銀行ネットワーク(以下「ネットワーク」という)との協定に合意したと発表した。これは同ネットワークにかかわるボランティアや職員の食品安全に関する研修をSAGPyA内の農牧政策食糧局の調整の下、実施することを目的としている。

 具体的には、(1)同ネットワークの関係者が、食品安全に対して不足している点または必要としている点を把握するための共同作業の実施、(2)食品の製造と取り扱い方法、害虫対策、HACCP、器材の安全な取り扱い、衛生管理などについての研修−を行うことが取り決められた。なお、この活動のために双方からコーディネーターをそれぞれ任命することとなっている。また、研修は年3回無償で実施されるが、具体的な研修内容については、別途合意される規定に従い、テーマ別に定めることとなっている。


国内の飢えや栄養不良の減少を目的に設立

 ネットワークを構成する全国各市の12の食料銀行はNGO組織であり、貧困者13万人を支援する830の公益団体に月間250トンの食料を配布している。各銀行は、より効果的な支援を行うため、食料の寄贈の申請、貯蔵、分配という基本モデルを地域の現実に適応させている。すなわち、食料寄付の申請の対象を企業のみあるいは農畜産生産者に絞る銀行もあり、または特定の目的に従って寄付を募る銀行もある。

 なお、銀行は現行の衛生基準に基づいて、寄贈された食料を受付、分類、貯蔵し、一連の条件を満たした支援団体への配布を行っている。


活動の効率化を図るためにネットワークを組織

 ネットワークは、これら12の食料銀行が連携して活動の効率化、機動化を図るため、2003年6月に設立された。主な目的は以下のとおりである。

・国内の飢餓および栄養不良問題の減少
・支援団体への食料配布の促進
・商品化に適さないが食用が可能な食品の廃棄処分の最小限化
・全国各地にある食料銀行が持つ余剰物資の交換システムの組織化

 また、ネットワークは正式発足前からいくつかの食料銀行が協力と補完を進めてきた。その一例として、コリエンテス州ビラソロ市とブエノスアイレス州タンディル市の食料銀行間でのそれぞれの主要生産品目であるマテ茶と小麦粉の交換が挙げられる。また、タンディル市とトゥクマン市の間では毎月2トンの小麦粉と砂糖の交換が行われている。さらに2003年3月にはメンドサ市から100トンのカボチャがコルドバ市、ラプラタ市、ブエノスアイレス市などの銀行に配給されるなどの活動が行われた。これにより、給食施設に提供する食品が多様性に富み、過剰供給品や各地域特有の生産余剰分を廃棄せずに済むという利点が生まれ、最終的には、国内の飢餓に苦しむ人々へ、より良い支援を提供することができるとしている。

 さらにネットワークがこれまでに行ってきた活動には次のようなものがある。

・全国食料寄付運動
  大手スーパーマーケットに対する食料寄付運動の実施。2003年に37トン、04年に43トンの食料をネットワーク内の800以上の給食施設に配布

・スーパーマーケットでの食品回収
  スーパーマーケットで廃棄処分になる食品を回収し、再利用

・農畜産部門との共同作業
  関連企業の協力により、穀物の寄付を受けた場合は、油脂、小麦粉などに、牛の場合は牛肉に加工

・食品市場での食品回収
  食料銀行のある各都市の食品市場において、果実・野菜の回収を実施

・「牛乳を皆に」プロジェクト
  牛乳は生産余剰がほとんどないことから、給食施設への供給を確保するために企業から牛乳の寄付を受けるため、同プロジェクトを設立

・食品の安全性についての講演およびワークショップ


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