米国、WTOドーハラウンド交渉の前進に意欲的


米通商代表WTO交渉の前進への指導的役割の継続を表明

 ポートマン米国通商代表は、7月29日に開催された世界貿易機関(WTO)一般理事会において、米国がドーハラウンド交渉を2006年の交渉期限までに成功裏に終了させるために引き続き指導的役割を果たしていくことを表明した。

 同理事会における同代表の声明の概要は以下のとおり。


 ブッシュ大統領はドーハ開発計画を熱心に支持している。大統領は貿易が世界の経済の成長と発展に価値ある寄与をする機会を逸することのないよう、大胆かつ理想を追い求めるようわれわれに求めてきた。

 新たな機会を創造し、米国民に貿易の促進が彼らの生活に顕著で前向きな変化をもたらし得ることを証明することが重要である。このことは米国のみならず開発途上国の同胞にとっても同様であり、われわれは皆、ラウンドの結果、開発途上国の産品とサービスに新たな機会がもたらされることを保障するための努力を継続している。

 米国の意欲は前向きであるが、昨今国内では貿易問題は容易な案件ではない。

 今春初め、議会はWTOへの加盟を再審査し、ルールに基づいたシステムは米国の経済、戦略上の関心、世界経済の繁栄、成長および貧困の軽減のために重要であることから、米国にとって加盟を継続することが重要であるとの決定を行った。

 大統領は、われわれが2006年末までにドーハ開発計画合意に関する交渉を完全に終了させ議会の承認を得ることを可能とする貿易促進権限(TPA)の短期の延長について承認を得た。

 ジョハンズ米農務長官は農業改革と米国農業法の一新のための作業を開始した。これはわれわれの共通の目標である香港閣僚会合で農業モダリティーを確立することに適合する。

 7月28日早朝の下院および29日の上院本会議による米・中米自由貿易協定の承認は非常に意義深いものである。合意自体が重要であるのみならず、WTOと米国の広範な貿易自由化計画の前進と基本的に関連する。

 米国は農業をはじめドーハ開発計画のあらゆる分野に高い野心を有する。ドーハ開発計画を共に前進させ、3つの柱すべてに実際に結果をもたらし得るよう、異なった手法を模索する用意があることを明言してきた。

 7月28日の議論は農業における市場アクセスが交渉の主要な停滞事項であることを再確認したと理解している。これに加えて、市場アクセス以外の農業分野、非農産品アクセス、サービス分野でも前進が停滞している。

 われわれは交渉の過程において開発途上国の同胞から挙げられた、特定の懸念や困難について慎重に耳を傾けてきた。

 2006年内の交渉終結との目標に合わせるのであれば、交渉の全分野に野心的である必要がある。

 私がジュネーヴを訪れたのは大臣、大使やWTO事務局に会い、われわれが直面している停滞を乗り越える方法や交渉を前進させ、交渉の成功が労働者、農業者、サービス提供者および消費者に潜在的な利益をもたらすことを最大限にわれわれ全員が自ら確信できることを保障する方法を直接議論するためである。

 われわれの招集はドーハラウンドを成功させわれわれの国民の生活と世界経済を改善するためである。貿易の自由化を通じて実現される利益に注目するとともに、交渉を進める上で直面する調整という課題に対処するよう作業を行う必要がある。

 米国はこの交渉の立ち上げに指導的役割を果たしてきた。米国は成功裏に結論に導くべく指導性を発揮する意思がある。われわれは大胆、創造的に相違を乗り越える用意がある。しかしWTOの成功は、全加盟国の努力により実現される必要がある。

 われわれの前にある実質的な課題に適合し、香港閣僚会合において2006年内に交渉を終結させる必要のある結果をもたらすよう、課題を乗り越えるための創造的な手法を探すため、加盟国が今夏、賢明に検討することを切望する。


◎未確定牛はBSE陰性

 米国農務省は8月3日、検査の結果が未確定として追加的な検査を同省と英国の研究所で行っていた牛について、免疫組織化学的検査の結果は陰性であったと公表した。


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