USDA、日本産牛肉の輸入規則案を公表


米国農務省、日本産牛部分肉の輸入再開条件案への意見公募を開始

 米国農務省動植物検疫局(USDA/APHIS)は8月16日、日本からの牛部分肉の輸入規則案を公表し、9月19日まで意見を公募するとした。この規則は2001年9月10日以降、わが国においてBSEの発生が確認されたことに伴い禁止されていた日本産の牛肉の輸入再開のための条件を示したものである。

 具体的な条件は以下のとおり。

(1) 日本で生まれ、育ち、と畜された牛由来の部分肉であること
    (骨格筋のみ。横隔膜、頭部、ひき肉などを除く)。
(2) 当該牛部分肉は食肉検査法をはじめとする米国の関連規則を充足する施設で取り扱われること。
(3) 米国内で禁止されている空気注入方式によるスタニングが行われていないこと。
(4) と畜の際にピッシングが行われていないこと。
(5) 特定危険部位(SRM)の除去が完全に行われていること。
(6) 日本政府の獣医官がこれらの条件を充足していることを証明すること。


米国農務省は、和牛肉のみの輸入を想定

 USDAは日本から輸入が再開された場合に、乳雄については米国市場での米国産牛肉との競争の関係から輸出が想定されにくいとして、和牛肉のみが輸入されると見込まれるとしている。和牛肉の輸入は米国内の消費者、流通業者、小売業者などに経済的な恩恵を与えることが想定されるとしている。しかし、米国内の和牛肉生産者への影響については生産者数などの把握が行われていないため、これを正確に把握することは困難であるとして、このような生産者への経済的影響などに関する意見を歓迎するとしている。ただし、禁輸以前の平均的な年間総輸入量は9トンと直近の米国の部分肉の総輸入量のわずか0.005%にすぎず、かつ、同時期の年間の平均輸入金額も80万8千ドル(9,050万円、1ドル=112円)にすぎないことから影響は極めて小さいものと考えられるとしている。


米国のカナダからの牛肉輸入規則の変更のための布石とも考えられる今回の規則案

 USDAはカナダからの牛部分肉の輸入再開に際して、30カ月齢以上の牛由来の部分肉についても輸入を認めるとの最終規則案を示したものの、生産者団体である全国肉牛生産者・肉牛協会(NCBA)や米国牧場主生産者行動法律財団(R-Calf)からの強い反対により、この実施の先送りを余儀なくされた経緯がある。

 今回の日本産牛肉の輸入再開規則案において牛の月齢による差異を設けなかったのはUSDAのこれまでの姿勢を貫いたものと言えるが、この規則案に対するこれらの生産者団体の反応は今後のカナダからの生体牛および部分肉の輸入条件の緩和を進める上での試金石となるとも考えられる。

 ただし、仮にカナダからの牛部分肉の輸入条件と同様に30カ月齢を超える牛由来の部分肉の輸入が認められないこととなれば、わが国からの和牛肉の輸出機会も限定されたものとなることが懸念される。


◎FSIS、食肉処理場の検査手順の検証結果を公表

 USDA食品安全検査局(FSIS)は8月12日、2004年1月から本年5月までの間に6千の食肉処理施設において実施された880万件の検査手順の検証結果の分析などを公表した。この結果、1,036件のSRM除去関係の規則が順守されていない事例があった。しかし、FSISは規則違反があった場合には、製品が食用として安全か廃棄処分とするかを確認するともに、非衛生的な食品製造の方法を是正しているとしている。FSISは今回の結果は、米国ではBSE規則が強固に実施され、消費者の安全が保護されていることを示すものであるとしている。


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