欧州委員会は7月29日、2005〜2012年における欧州連合(EU)の主要農産物の需給に関する中期予測を公表した。これは、2005年5月までに公表されたデータを基にしたものであり、豚肉に係る内容は以下のとおり。
● ● ● 2012年までの豚肉生産はわずかに増加 ● ● ●EU25カ国の豚肉生産は、新規加盟国(NMS)において減少する影響で、2004年および2005年は前年を下回る見込みである。NMSでは、2002年から2003年にかけて豚肉価格が低迷したことから繁殖雌豚を中心に飼養頭数が1割程度減少した(繁殖雌豚は2年間で15%の減少)。しかし、その後のEU25カ国の豚肉生産は、域内外の需要の高まりを受け増加傾向で推移し、2012年は2003年と比較して3.2%増の2千2百万トンに達すると予測されている。なお、この伸び幅は、近年需要が増大する鶏肉との競争の激化により、90年代と比較すると鈍化するとされている。 ● ● ● 1人当たりの消費量は44.4キログラムに増加 ● ● ●中長期的に見ると、EUの食肉の中で最も好まれている豚肉の消費は、鶏肉消費の伸びには及ばないものの増加基調で推移し、2012年における1人当たりの豚肉消費量は、2003年と比較して0.7%増の44.4キログラムとなる見込みである(鶏肉は同8.4%増の24.5キログラム)。なお、豚肉消費が堅調であるのは、2004年のEU加盟によりNMSの経済成長が期待されているためである。 なお、EUにおける豚肉の生産および消費に占めるNMSの割合はいずれも約15%となっており、今日、NMSがEUの豚肉需給に及ぼす影響は無視できなくなっている。なお、NMSの豚肉の生産者販売価格はEU25カ国の平均を超える状況が続いている。 ● ● ● 豚肉輸出は横ばいも、輸入は約1.5倍に ● ● ● 豚肉輸出について見ると、2004年に日本をはじめとする主要国への輸出が大きく増加したことから、前年比8.6%増の145万トンといったんは増加するものの、2005年以降は平年ベースに戻り130トン台前半の水準で推移すると予測されている。一方、輸入は大幅に増加して2003年の1.5倍以上の3万7千トンになると見ているが、需要に占める割合は依然大きなものとはならないとされている。
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