豚肉需給情報交換会合を開催日本の農林水産省および欧州委員会それぞれの担当者などによる豚肉の需給動向に関する情報交換会合が、6月29日、ブリュッセルで開催された。 日本側からは、豚肉などをめぐる需給状況の説明とともに、関税の緊急措置については、日本国内において牛肉への消費が回帰していること、豪州からの牛肉輸入が増加していること、米国におけるBSEや日本国内外での鳥インフルエンザの発生による影響が大きかった昨年に比べ現在は豚肉に対する需要が落ち着いていること、在庫水準が高いことなどから、需要に見合った秩序ある輸入が行われれば、当日に公表された5月の輸入実績からも8月からの緊急措置の発動が回避可能な水準であるとの説明が行われた。 EUの豚肉価格は堅調、生産は安定欧州委員会から説明のあったEUの豚肉の需給動向などは以下のとおり。 (1)価格は堅調 EUの豚枝肉価格は、最近は良好な水準で安定。本年第23週(6月第1週)の価格は、昨年とほぼ同水準の枝肉100キログラム当たり143ユーロ(19,734円:1ユーロ=138円)であり、2003年に比べ非常に良い水準。飼料価格が低水準で推移しているため、農家の収益性も良好。 本年第3四半期の価格は枝肉100キログラム当たり148.77ユーロ(20,530円)、同第4四半期の価格は同139.16ユーロ(19,204円)と予測。その結果、2005年の年間の平均価格は同142.10ユーロ(19,610円)と前年の138.40ユーロ(19,099円)を上回ることを予測。 一方、2006年は、若干下がるものと予測。 (2)生産量は安定 2005年のEU全体の生産量は、前年比1.2%減少との予測であるが、ここ数年安定的に推移。ただし、新規加盟国では小規模経営が多く競争力が弱いため減少傾向。なお、生産量の維持または削減による価格の維持を指導している。EU全体としては、年末に向けと畜頭数が増加。2006年の生産量は若干の増加と予測。 なお、デンマークでは頭数に応じた飼料畑を確保しなければならないなど、飼養環境要件が厳しく、生産規模を拡大し難いことから、子豚をドイツに出荷して肥育するといった動きも出ている。 (3)輸出は順調に増加、輸入は減少 輸出は近年順調に増加。特に輸出補助金の適用のないものが伸びており、輸出の太宗を占める。なお、WTOの議論の中で輸出補助金制度は将来廃止されることが見込まれることから、今のうちから準備が必要であり、生産者に対しては輸出補助金に頼らない生産を行うようメッセージを発出。 輸出量は、ロシア向けが最大であり、これに日本、日本以外のアジア諸国が続いており、欧州の豚肉にとってアジア地域は重要。金額ベースでは日本が全体の36.4%を占めており最大。 一方、輸入については、域外からのものは近年5万トン程度で推移していたが、主な輸入先国であった、ハンガリー、ポーランドが昨年5月にEUに加盟したことから、これらの国からものが域外からの輸入とはならなくなり、域外からの2004年の輸入量は減少。 (4)消費は安定 豚肉の消費は、新規加盟国では減少するものの、従来からの加盟国ではわずかに増加し、EU全体では安定して推移。 (5)その他 EUの拡大により、従来からの加盟国の中には新規加盟国の製品に市場が脅かされるのではないのかとの不安もあったが、そのような状況にはなく、また、新規加盟国内では生産物の価格の上昇、投資の拡大などが見られ、食肉の分野ではEUの拡大は比較的スムーズに進展。 |
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