英国環境・食糧・農村地域省(DEFRA)およびフランス農業漁業省は7月19日、英国で発生が確認されたニューカッスル病に関して共同で疫学調査を実施したことを発表した。 英国での発生を受け英仏が合同調査を実施DEFRAは7月15日、英国南東部サリー州の狩猟用のキジでニューカッスル病が確認されたことを発表した。発生農場で飼養されていたすべてのキジは、EUの規則(理事会指令92/66/EEC)に基づき、迅速にとうたされた(7月26日現在10,240羽)。また、そのほかの予防措置として、同農場からの動物、ふん尿、車両の移動禁止、半径10キロメートルに監視区域の設定、予防のための家きんへのワクチン接種などが実施された。なお、同農場の近郊には大規模な家きん生産農家がないことが確認されている。 英国での感染源としては、次の二つの可能性が推測され、一つは、発生農場がフランスの農場から輸入した鳥であり、もう一つは発生農場近くに飛来した野鳥からというものであった。そこでDEFRAは、フランス当局に連絡を取り、両国間での鳥の移動に関する情報交換を行った。この情報交換には、EU域内の生きた動物、動物製品、精子や受精卵ばかりでなく、ほ乳動物のふん尿などの移動に関する情報を交換できるシステムであるTRACES(TRAde Control and Expert System)を使用して両国間での鳥の移動を確認した。この結果、フランスの北西部ロワール・アトランティック県の農場由来であることを特定している。 フランスの農場は確定診断前にとうたを決断英国の発生農場と関連すると特定されたフランスの農場の鳥については、合同プレスリリースを発表した時点では、病気の診断結果が出ていなかったが、同病の疑いが高かったことから、病気のまん延を防ぐために、すべてをとうたすることとした。同農場は、3万5千羽のキジと2万羽のヤマウズラを飼育する大規模な農場である。同農場での感染源は特定されていないが、農場近くに湖があり、そこに渡り鳥がいたことが確認されており、これらが感染源ではないかと考えられている。 今回の両国間での疫学調査に関して、ニューカッスル病の発生および両国の家きん産業への経済的損失を引き起こすものであるが、両国での迅速な情報交換により感染農場をすみやかに特定できたことは、両国の衛生当局間での密接な協力の良い一例であるとしている。 フランスでの発生を確認フランス農業漁業省は7月21日、今回の特定された農場においてニューカッスル病の疑いが高いこと、英国とともに、両国の鳥の移動をすべて確認し、関連する動物すべてのとうたを行ったことを発表している。また、同農場からは6月22日に英国へキジを1度輸出した以外は、6月1日以降、同農場からの鳥の搬出、また同農場への鳥の搬入は行われていないと説明している。なお、同農場のあるロワール・アトランティック県は、主要な家きん生産地域ではないとしている。 その後、同省は7月27日、今回のニューカッスル病の疑いの高かった件に関して、同病の確定を発表した。発生農場の鳥については、すでにとうた済みであり、さらなる措置として、発生地から半径3キロメートル以内の家きん農家を衛生監視区域とし、また、半径3〜10キロメートルの区域の家きん農家に対して移動制限を課した。 |
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