ブラジル政府、2005/06年度の農業プランを決定


農業融資資金は前年度比12%増

 ブラジル農務省は6月24日、2005/06年度の作付けを前に、農業融資政策を中心とする農業プランを公表した。

 同プランによると、農務省所管の農業融資計画額は、前年度の394億5千万レアルを12.4%上回る443億5千万レアル(2兆845億円:1レアル=47円)となっており、これに農地開発省所管の家族農業者を支援するプログラムによる融資額90億レアル(4,230億円)を加え、合計533億6千万レアル(2兆5,079億円)が2005/06年度の農業生産に投入されることになる。政府はこの資金量によりブラジルの穀物生産は1億2,500万トン以上に達するものと期待している。

 なお、農務省所管の融資資金は、営農および販売に対する332億レアル(前年比15.5%増、1兆5,604億円)と農業投資に対する111億5千万レアル(同4.2%増、5,241億円)に分けられる。

 注:営農および販売融資332億レアルのうち、政府が金利を決定した資金は209億レアル、残りは市中金利による資金


営農および販売融資利率は8.75%に据え置き

 営農および販売融資のうち、政府が金利を決定した資金の大部分に係る利率は、前年度同の低率年利8.75%が適用される。これについてロドリゲス農相は、「国内の基本金利が上昇を続けている中で、農業融資の利息が前年度同率に設定されたのは、農業部門にとって大きな恩恵である」と述べている。

 また、1農家当たりの融資限度は、前年度に設定された枠(大豆は20万レアル、トウモロコシは40万レアルなど)が適用されるが、今年度の新しい制度として、環境保護や家畜のトレーサビリティへの取り組みを実施した生産者に対しては融資限度額を15%拡大するとともに、農業と畜産の複合経営を行った者に対しては、農業と畜産それぞれ別に融資限度額を利用できるとしている。また、畜産分野では今回から、従来投資の項目に含まれていた子豚の購入資金をより資金量の多い営農および販売向け資金から融資できることとなった。


農業投資プログラムの融資限度額が拡大

 農業投資を目的とする9プログラムが昨年から継続され、資金は前年度比4.2%増の111億5千万レアルとなる。政府としては、環境、衛生および付加価値の向上を図るプログラムを優先したとしている。過去3農年期で農業融資総額は61%増加し、その中で農業投資に対する融資額は79%増加しており、農業基盤の強化を図る政府の方針が示されている。


北部、東北部を重視した最低価格の改定

 一方、農産物価格の下落リスクの低減を目的として生産者に対し、生産コストを保証する最低保証価格は、主に北部、北東部地方の作物に対して改定が行われた。貧困地帯の多くを抱えるこれらの地方は、ルラ政権が公約として掲げる社会政策を必要とする地域であり、貧困農村地帯を保護する政府方針を示したものとみられる。

 また、国内供給不足が見込まれているトウモロコシについては、主産地の南部および南東部では前年度の60キログラム当たり13.0レアル(611円)から14.0レアル(658円)に引き上げられ、生産の増加を図っている。


業界の反応は賛否両論

 ブラジル全国農業連盟(CNA)は、4月に政府に要請した今年度の営農および販売に対する融資資金は685億レアル(3兆2,195億円)であり、これに農業投資の融資資金を加えた全体要請額は814億レアル(3兆8,258億円)となり、今回の政府発表とは大きな開きがあると不満の意を表した。一方、ブラジル農村協会(SRB)は、今回の発表で固定金利(8.75%)の資金量が前年より18%増加したことは、債務の未返済など困難な状況を抱える生産者にとって歓迎すべきことと評価している。


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