連邦政府委員会、農業の傾向について公表 ● 豪 州


農業の生産性向上が要因

 豪州連邦政府の経済政策諮問機関である生産性委員会は7月5日、過去40年間の豪州農業の傾向をまとめた報告書「豪州の農業傾向」を公表した。これによると、豪州の農産物生産量は過去40年間で2倍以上、輸出量は過去30年間で3倍以上に増加している。同委員会では、農業機械の普及、除草剤や肥料の改良、遺伝子改良品種の開発、疾病対策、海外との競争、情報技術やインターネットの活用など農業の生産性の改善が要因としている。


生産量は年2.4%、輸出量は同3.5%の伸び

 報告書によれば、農産物生産量は、1963/64年度から2003/04年度までの40年の間に発生した3度の大干ばつにより、前年度比で最高22%の減少となったものの、それを克服する回復力を見せ、平均で年2.4%の伸び率を記録した。これを経営タイプ別でみると、この間に最も生産量が増加したのは平均伸び率が年3.3%となった穀物専業経営である。次いで穀物・家畜複合経営の同2.5%、家畜専業経営が同1.8%、酪農経営は同1.7%と続いている。

 また、農産物輸出量については、1974/75年度から2003/04年度の30年間で平均伸び率が年3.5%となった。2003/04年度では、農産物生産量の約3分の2が輸出され、豪州の全輸出量のうち農産物の占める割合は22%となっている。牛肉、小麦、ワインなどを中心に輸出は伸びており、この間の伸び率では、食肉が年平均2.8%、穀物が同2.5%となった。なお、ワインの伸び率は同15.8%と突出しており、これが全体を底上げしている。


GDP割合は低下、就業人口も減少

 一方、実質国内総生産(GDP)に占める農業の割合は、1960年代初頭は14%であったものが、2003/04年度にはわずか4%にまで低下しているが、金額では250億ドル(2兆1,750億円:1豪ドル=87円)となっている。

 また、農業に従事する労働者数は、1960年代初頭では就業人口全体の9%であったものが、2003/04年度には4%にまで低下している。このうち、穀物、羊、牛肉の各経営合計で農業労働人口全体の44%となる1万6,500人を雇用しているが、他の産業に比べ労働力の高齢化が目立っている。


農業の規模拡大が進む、農家収益は向上

 農家戸数については、1980年代から2003/03年度までの20年間で約25%、戸数にして4万6千戸減少している。しかし、農場規模は、平均で2,720ヘクタールから3,340ヘクタールに拡大しており、全体の1割に当たる農家が、農産物生産量の50%以上を生産している。一方で、全体の50%に相当する小規模農家では、生産量の約1割を生産しているに過ぎないなど、農業の規模拡大が進んでいる。

 農家収益面では、1989/90年度の1経営当たり平均15,000豪ドル(131万円)であったものが2002/03年度には33,500豪ドル(291万円)に向上するなど、農家戸数が減少する中で、規模拡大、生産量の増加に努めてきた結果が現れている。


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