肉牛取引価格、キログラム当たり400豪セント台に豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)が8月12日に発表した最新の肉牛市場取引価格によると、市場への出荷頭数減少を受けて上昇を続けていた東部地区若齢牛指標価格(EYCI)は、前週と同じくキログラム当たり416豪セント(362円:1豪セント=0.87円、枝肉重量ベース)と落ち着きを見せてきたが、2004年9月に記録した同398豪セント(346円)を7月中旬に突破して以来、依然として記録的な高値が続いている。 EYCIは、肉牛の主産地であるクイーンズランド、ニューサウスウェールズ、ビクトリア各州の市場取引価格を参考に算出されており、肉牛取引価格の指標となっている。 MLAでは、価格上昇の要因について、肉牛供給頭数の減少と高まる肉牛需要を挙げており、このことが価格を記録的な水準まで押し上げたとしている。
肉牛取引価格(EYCI)の推移 価格は堅調に推移との見方2002/03年度に発生した干ばつにより減少した肉牛飼養頭数の回復が遅れる中で、豪州の肉牛価格は、2004年後半以降、国内外からの牛肉需要により前年水準を上回って推移してきた。2005年に入り、新たな干ばつの懸念により生産者が出荷を増加させたことから一時的に値を下げたものの、その後の降雨により供給頭数が減少し、価格は再び上昇基調にあった。 MLAでは、肉牛供給頭数減少の要因について、(1)2005年6月の降雨により牧草の生育状況が改善したことで、肉牛生産者は干ばつの懸念を払しょくし、再び、出荷抑制機運になったこと、(2)7月から実施となった全国家畜個体識別制度(NLIS)の義務化に伴う肉牛への耳標装着の遅れが、肉牛の出荷減少を助長したこと−などを挙げている。 また、フィードロットや食肉処理業者が、国内外の強い需要を受けて頭数の確保に努めたことも、価格上昇の大きな要因となっていた。このため、主要食肉加工業者の中には、急騰する価格に対処できず、工場の操業を一定期間停止するなど、沈静化に向けた動きも出始めている。 一方、肉牛生産者の間では、牛群の再構築と合わせて、堅調な市場価格を見込んで出荷を抑制する動きが続いている。肉牛価格の季節的傾向として、例年、出荷が抑制される冬場にかけて上昇し、春先にピークを迎えることから、今後の肉牛価格は、ここしばらく堅調な推移が予想されている。 ◎NZ、チリなど3カ国とFTA調印ニュージーランド(NZ)政府は7月18日、チリ、シンガポール、ブルネイの3カ国とFTA(自由貿易協定)に相当する戦略的経済連携協定(Trans-Pacific SEP)に調印したことを発表した。 今回の調印についてNZのサットン貿易相は、「NZは、南米およびアジア諸国との間で非常に高いレベルの自由貿易協定を締結することができた」と述べ、特に南米諸国との間での初のFTAとなったことで今後の貿易拡大への期待を膨らませた。また、いくつかの国が同協定に強い関心を示しているとし、今後の交渉拡大へ前向きな姿勢を示した。なお、NZは、タイとの間で2005年4月に同協定を締結し、7月より発効しており、今回の調印は今年に入って2番目のものとなった。 |
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