AI発生後、鶏肉生産の増減幅は拡大化


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 生産の年間増減幅は拡大化 ● ● ●

 タイ農業協同組合省発表の7月のブロイラー生産量(出荷羽数)は、6,220万羽と前年を12.4%下回ったものの、4月以降の生産量はほぼ6,200万羽前後となっており、直近の生産量は安定的に推移している。

 一方、年間の平均生産量で各月の生産量を割った数値を比較すると図1のようになる。2000〜2003年の平均は鳥インフルエンザ発生前の季節による生産量の変化の傾向を示し、下半期に生産が増加していたものの、季節変動はあまり見られない。2004年はAIの発生により乱高下した。2005年には第1四半期に生産量が減少したが、その後コンスタントに生産量は増加した。2006年は年初に大幅な生産量の増加があり、その後減少して7月に至っている。グラフからは、AI発生以降、生産の増減の幅が拡大したことが確認される。

図1 ブロイラー生産量の変化


● ● ● 卸売価格の年間ピークは変化 ● ● ●

 タイ商務省発表による7月のブロイラー卸売価格(生体)は、前年同月比17.1%安の25.3バーツ(約81円:1バーツ=3.2円)となり、3月以降、ほぼ前年を下回って推移している。

 一方、年間の平均卸売価格で各月の卸売価格を割った数値を比較すると図2のようになる。2000〜2003年の平均は鳥インフルエンザ発生前では、7月に年間の価格のピークがあったが、生産量と同様、2004年はAIの発生により乱高下した。2005年上半期はやや落ち着いた動向であったが、下半期から大きく変動するようになり、7月の価格のピークは消滅している。なお、7月のピークは、タイの学校の休み明けや日本など輸入国が年末需要用の手当てを活発化させる時期に当たったためなどとされている。

図2 ブロイラー卸売価格(生体)の変化


● ● ● 中東への輸出拡大のチャンス到来 ● ● ●

 国家農産物・食品基準局(ACFS)は10月中旬、アラブ首長国連邦(UAE)の担当者が、近々、タイの鶏肉処理場および加工場19カ所を調査予定であると発表した。タイの中東への鶏肉輸出は、2003年には約2,500トンとなったが、2004年のAI発生により大幅に減少した。また、鶏肉調製品に関してはほとんど輸出実績がなかった。

タイの鶏肉輸出

資料:タイ関税局

タイの鶏肉調製品輸出

資料:タイ関税局

 一方、代表的中東各国の鶏肉輸入量を見ると、2004年にはサウジアラビアが約44万トン、UAEが約16万トンそしてクウェートが約12万トンとなっている。このため、タイがUAEのハラル認証を含む輸出基準を満たすことにより、イスラム教を共通の宗教とする中東への鶏肉調製品輸出拡大への大きなチャンスが到来したと言える。

鶏肉輸入量

資料:FAOSTAT


元のページに戻る