冷凍鶏肉の在庫量は大幅に減少


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 生産量の伸び率が鈍化、期末在庫は減少の見込み ● ● ●

 USDA(米国農務省)によると、冷凍鶏肉在庫量は、2006年2月の41万9千トン(前年同月比46.6%増)をピークに減少傾向で推移しており、9月には前年同月比4%減の32万8千トンとなっている。

 第3四半期のブロイラー生産量(可食処理ベース)は、406万トン(前年同期比0.1%増)と低い伸び率にとどまったが、USDAは、ひなふ化羽数およびブロイラー用ひな導入羽数が前年度をわずかに下回る水準で推移していることなどから、今後もブロイラー生産量の伸び率の鈍化は続くとみている。このことから、第4四半期末の鶏肉在庫量の予測について、34万トンから1万1千トン減の32万9千トンへ下方修正した。

図1 鶏肉在庫量と丸どり卸売価格の推移


資料: USDA「Livestock, Dairy and Poultry Outlook」
  「Cold storage」
  


● ● ● 骨付きもも肉の在庫は大幅減 ● ● ●

 特に骨付きもも肉は、2006年2月の在庫量が前年同月比183.4%増の64万6千トンとなったが、9月末には同18.4%減の40万6千トンとなった。

 昨年10月以降の在庫量の大幅な増加は、鳥インフルエンザ(AI)の発生によって世界的に需要が減退したため、2005年第4四半期の輸出量が前年同期比13.7%減と振るわなかったことが原因の一つと考えられる。骨付きもも肉の主要輸出先であるロシア向け輸出量も昨年12月、一時的に落ち込んだが、2006年1月以降は安定して推移したため、上半期のロシア向け輸出量は34万8千トン(前年同期比5.7%増)となり、骨付きもも肉の在庫量も1月以降減少した。

 むね肉の在庫量も同様に昨年秋以降上昇していたが、2月以降減少し、8月末の在庫量は55万5千トン(同10.6%減)となっている。

図2 むね肉と骨付きもも肉の在庫量の推移


資料:USDA「Cold storage」


● ● ● 在庫量の減少も、価格は依然低迷 ● ● ●

 冷凍鶏肉在庫量は減少しているものの、第3四半期の12都市平均ブロイラー卸売価格(丸どり(中抜き))は、前年同期比6.0%安のポンド当たり67.8セント(キログラム当たり178円:1ドル=119円)となり、依然低い水準から脱していない。USDAは、牛肉・豚肉の生産が好調であるため、生産量の伸び率の鈍化や在庫量の減少が価格上昇につながっていないとしている。

 部位別に10月の北東部の卸売価格を見ると、むね肉(ボンレス)が同105セント(同275円)、骨付きもも肉(ホール)が同37.3セント(同98円)となり、それぞれ前年同月比11%安、39.8%安と低迷している。


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