フランスの主要家畜が一堂に会する「畜産サミット」


ひとくちMemo

 フランスの中南部のオーベルニュ地方クレルモンフェラン市の郊外で、10月5〜7日の3日間、「畜産サミット(SOMMET DE LユキEVAGE)」が開催された。オーベルニュ地方は、フランスを代表する肉用牛品種シャロレー種やリムジン種の原産地に近く、サレール種、オーブラック種といった地方特産の肉用牛の飼養も盛んであり、同国を代表する肉用子牛の生産地帯となっている。また、この地域は酪農も盛んであり、農業国フランスの中でも主要な畜産地帯の一つとなっている。

 ここで毎年開催される畜産サミットには、肉用牛、乳用牛、羊、馬などを中心に多数の家畜が揃い、牛をはじめとした150部門での共進会や、食品企業、施設・機械メーカーなどによる850もの展示ブースが設置されている。また、同サミットでは、海外からの見学者を主な対象とした農場見学のツアーも企画されており、同国北西部のレンヌで開催される畜産展示会SPACE(スパス)と並んで、フランスの畜産を手軽に、そして効率的に見学できる格好のイベントとなっている。

 15回目となる本年は、3日間の開催で畜産関係者や一般の見学者など7万人以上が来場したと見込まれている。なお、開催初日にはシラク大統領も会場を訪れ、同国の農業関係者に向けて共通農業政策(CAP)を2013年まで変更すべきではないとCAPの改革議論をけん制するスピーチを行うなど、畜産関係の重要情報の発信拠点の一つともなっている。


会場の見取り図。下部の円形部分が入場口。右上がメイン会場で、中央の屋内パビリオン、その両脇に施設・機械を中心とした屋外展示場、さらにその両脇に家畜を収容する巨大テントが位置する。


会場を裏から撮影。手前が家畜の展示が行われる巨大テント。
年々、展示規模が拡大し、今年も屋外展示スペースを拡大したが、それでも間に合わないとのこと。


メイン会場の両脇に設置された肉用牛と乳用牛の2つの巨大テントでは、牛を中心とした展示および共進会が開催された。



 


肉用牛テントで見られたフランス原産の肉用牛(左上から時計回りにリムジン種、オーブラック種、ガスコン種、サレール種)






 

乳用牛テントで見られた品種(左上から時計回りにモンベリエール種、シンメンタール種、ノルマンド種、ブラウンスイス種)


入場口近くのテントでは、一般市民を対象とした代表的な家畜品種の展示と、畜産に関する知識醸成のためのクイズが出題されており、多くの親子連れや学生の姿が見られた。なお、このときのクイズのお題は「シャロレー種の登録開始年」に関するもの。もちろんフランス語での出題であった。


メイン会場中央に位置する屋内パビリオンでは、食品企業、施設・機械メーカー、動物医薬品など多くの展示ブースが所狭しと、各々の新商品などを紹介していた。見学する方も、説明する方も真剣そのもの。


中央の屋内パビリオンの両脇に広がる機械・施設を中心とした屋外展示場の展示の模様。ここでは飼料給餌機を、牛の模型や飼槽を設置して説明していた。


広い会場には食事のコーナーも。大きな鍋には豚内臓ソーセージの白ワイン煮込み。フランスパンに挟んで食べるのだがかなりのボリュームである。また、リムジン種のステーキを提供するレストランも。 


畜産サミットでは、海外からの訪問者を対象にした農家訪問ツアーが企画される。対象畜種は、サレール種、オーブラック種、ブラウンスイス種、シャロレー種、リムジン種、シンメンタール種であり、時間が許せば複数のツアーに参加することも可能である。
今回は会場からバスで約1時間の場所にあるシャロレー種の生産者組合を訪問した。

シャロレー種が放牧される草地で生産概況などの説明を受ける参加者。なお、この訪問ツアーでは、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語が飛び交った。

農場の一角では生産者組合の組合員やシャロレー種の振興組織関係者が、草地での説明に補足してパネルなどを用いて生産概要などを説明してくれる。


生産者組合の共同草地は約130ヘクタールで、25戸の生産者が放牧のため利用する。

シャロレー種の母牛と雄子牛。この子牛はこの飼養群における将来の種雄牛候補。
この生産者組合を含め、この地域の生産者の多くは、肥育素牛として雄子牛の大半をイタリアに出荷するとのこと。

ブリュッセル駐在員事務所 和田 剛、山ア 良人


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