豪州の干ばつは今後の小麦需給に大きく影響


◇絵でみる需給動向◇

● ● ● 2006/07年度の世界の期末在庫は、過去25年間で最低水準 ● ● ●

 米国農務省(USDA)が10月に公表した飼料穀物需給予測によると、世界の2006/07年度(7月〜翌年6月)における小麦生産は、前月予測を1,095万7千トン下回る5億8,514万2千トンに下方修正された。消費は、前月予測を271万4千トン下回る6億1,307万5千トンとなり、消費が生産を上回っているため、期末在庫は、前月予測を707万6千トン下回る1億1,930万トンとなった。期末在庫は前年度を2割下回る大幅な減少で、過去25年間で最低の水準となっている。

世界の小麦需要

資料:USDA/FAS


● ● ● 豪州の干ばつは今後の小麦需給に大きく影響 ● ● ●

 大規模な豪州の干ばつが、今後の世界の小麦需給に大きな影響を与えると見込まれている。豪州における2006/07年度の小麦生産は、大規模な干ばつの影響から前回予測(9月)を685万9千トン下回る954万9千トンに下方修正された。この生産量は、前年度を6割下回り、減少量の1,554万1千トンは、世界の小麦貿易量の1割強に当たる。今回の干ばつによる被害の程度を2002/03年度に見舞われた大規模な干ばつと比べると、主要冬穀物である小麦、大麦およびカノーラ三品を合わせた生産は、前回の干ばつ時をさらに1割程度下回ると予測されている。

豪州の冬穀物三品の生産量

資料:USDA/FAS


● ● ● 生産は6割減少するが、輸出は2割にとどまる ● ● ●

 一方、2006/07年度における豪州の小麦輸出量は、前年度を2割程度減少するにとどまるとしており、世界第三位に位置すると見込まれている。生産の減少から、豪州からの中東や地中海沿岸の国々およびアジア各国への輸出量は減少するが、カナダ、カザフスタンおよびEU25カ国などからの輸出が増加するとしている。

主要国の小麦輸出量

資料:USDA/FAS

 すでにタイトであった世界の小麦需給は、豪州の生産量の減少でさらに厳しさを増すと見られており、輸出国の在庫量の減少と相まって国際相場に大きな影響を与えている。


元のページに戻る