2006/07年度の生乳生産、干ばつで前年度割れの見込み


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 前年度を7%程度下回るとの予測 ● ● ●

 デイリーオーストラリア(DA)は先ごろ、2006/07年度の生乳生産について、大規模な干ばつの発生により前年度比7%減の940万キロリットルに下方修正せざるを得ないとの見通しを公表した。DAは当初、前年度並みの1,000万キロリットル程度の生乳生産を見込んでいた。仮に本年度の生乳生産が減産となれば、豪州は、昨年度に続いて2年連続の減産となる。

 DAによると、2006年9月の生乳生産は、前年同月を2%上回る103万8千キロリットルとなった。このため、2006/07年度第1四半期(7〜9月)の生乳生産で見ると、前年同期を5%上回る250万5千キロリットルとなり、年度の立ち上がりとしては、前年度と同様、順調な滑り出しを示していた。

生乳生産(前年同期比増減率)

資料:DA

 豪州の生乳生産は10月にピークを迎えるが、生乳生産の65%を占めるビクトリア州の伸び率は干ばつによる放牧条件の悪化に伴い下降傾向で推移している。同州における7〜9月の月別生乳生産量について、前年同月比の増加率を見ると、それぞれ12%、8%および2%となっている。今後、干ばつの被害が拡大することを考慮すると、本年度の生乳生産の減少を大きく示唆している。


● ● ● 最大手乳業は、生乳確保のため早くも支払い乳価に上乗せ ● ● ●

 生乳生産の先行きが懸念される中で、最大手乳業であるマレーゴルバンやフォンテラ傘下のボンラックは、早くも、それぞれ今季最初となる支払い乳価の上乗せを発表している。

 マレーゴルバンは、乳脂肪キログラム当たり8豪セント(7円44銭:1豪ドル=93円)、乳たんぱく質キログラム当たり20豪セント(18円60銭)の上乗せを発表しており、また、ボンラックも前者は同5豪セント(4円65銭)、後者は同15豪セント(13円95銭)を上乗せるとしている。

 乳価上昇は、生乳獲得競争の表れと受け取る向きもあるが、フォンテラによると、支払い乳価の上乗せは、厳しい酪農家の窮状を考慮し、可能な限りすばやい対応を金銭で表すことで支援の意を表したいとしている。


● ● ● 飼料穀物の確保に必死となる酪農家、他所への乳牛移動も開始 ● ● ●

 一方、飼料穀物の価格が前年同期比で二倍近くに跳ね上がったことから、酪農家の中には、飼料穀物の代わりとして、目下輸入可能なパーム核粕(palm kernel meal)をマレーシアから、また、コーン・グルテン粉(corn gluten meal)を米国から取り寄せ始めた。また、ビクトリア州の酪農家の中には、飼養環境の良いタスマニア州への乳牛の一時的な放牧委託など、最悪の場合には、乳牛を手放すことも考慮した上で、飼養環境の良い農場へ移送する動きも出ている。乳業会社にとって、原料乳の確保という心配の種が、日増しに増している。


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