減少が続くEUの乳用経産牛飼養頭数


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2005年の飼養頭数、前年をわずかに下回る2,297万頭 ● ● ●

 欧州統計局(EUROSTAT)が公表したEU25カ国における2005年の乳用経産牛飼養頭数(暫定値)は、前年比1.8%減の2,297万頭となり、90年代前半から続いている乳用経産牛頭数の減少傾向がより鮮明となった。EUでは84年以降、共通農業政策(CAP)に基づく生乳生産量の調節のため生乳生産割当枠(クオータ)を導入していること、また、乳用雌牛の泌乳能力が年々向上していることがその背景として挙げられる。なお、2003年のCAP改革により、2014/15年度までクオータ制度が延長されることが決定し生乳生産の増加は見込まれないことから、こうした乳用経産牛飼養頭数の減少傾向は今後も続くと思われる。


● ● ● 5カ国以外のすべての加盟国、前年を下回る ● ● ●

 飼養頭数の動向を国別に見ると、前年同となった二カ国を除きポーランドおよびイタリア、チェコが前年と比べてわずかに増加したほかは、すべての加盟国で前年を下回った。生乳生産量が多い順に見ると、第1位のドイツが前年比2.9%減の416万頭、次いでフランスが同1.3%減の390万頭、イギリスが同3.6%減の207万頭と続いている。

 一方、新規加盟国(NMS)の中で最も酪農が盛んであるポーランドの飼養頭数は、同0.9%増の276万頭と第3位にランクされた。しかし、一頭当たりの乳量がまだ上位国に及ばないため、同国の生乳生産量は域内第6位にとどまっている。

 なお、同0.2%増の184万頭とわずかながら増加したイタリアは、先般、欧州委員会が発表した2005/06年度の生乳供給量において、クオータ数量を最も多く超過した国となっている。

国別経産牛飼養頭数の推移

資料:欧州統計局
 注:12月時点


● ● ● 一頭当たり乳量は、多くの加盟国で増加 ● ● ●

 一頭当たりの乳量は、育種改良や飼養管理技術の進展などによって増加傾向にある。ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、2004年におけるEU15カ国の乳量の平均値は、前年比0.8%増の6,350キログラムとわずかに増加した。これは、5年前と比較すると8.2%の増加である。しかし、2003年はすべての加盟国の乳量が増加したが、2004年はオランダ、イギリス、アイルランドおよびギリシャの4カ国が前年をわずかに下回った。

 国別では、第2位のデンマークが前年比1.4%増の8,000キログラムとなり、第1位のスウェーデン(同0.4%増の8,107キログラム)に続き2カ国目の8千キログラム台に躍進する一方、最も低い水準のアイルランド、ギリシャは4,759キログラム、4,529キログラムにとどまっており、最上位の国々と比較するとその差は二倍近くに開いている。

乳用経産牛1頭当たり年間乳量

資料:ZMP, EUROSTAT, FAOSTAT


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