乳製品卸売価格、バターは低迷、脱脂粉乳は回復へ


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● バターの卸売価格は前年を大幅に下回って推移 ● ● ●

 米国農務省(USDA)によると、低迷するバターの週ごとの卸売価格は、7月にポンド当たり112セント台(キログラム当たり約294円:1ドル=119円)で推移し、8月以降上昇し、9月以降同130セント前後(同約332円)で推移した。しかし、依然として前年同月を大幅に下回っており、10月の卸売価格は、前年同月比18.5%安の同132.1セント(同341円)となった。1〜10月のバターの卸売平均価格は、前年同期比22.1%安の同123.1セント(同323円)となり、過去5年間の平均と比較しても16.5%下回っている。

バター卸売価格の推移

資料:USDA「Dairy Market News」


● ● ● 卸売価格は8月以降回復基調も、前年の水準には至らず ● ● ●

 今夏の価格上昇は、販売量の増加に対して生産量が減少し、民間在庫量が減少したことによるとされている。第3四半期のバターの生産量は、前年同期比1.4%減の13万トンとなっている。バターの生産量の減少について、USDAは、生乳生産量は前年を上回って推移しているものの、乳脂率の減少によりバター生産に利用可能なクリームの生産量が減少したためとしている。

 在庫量は、例年同様、夏場に減少したものの、前年を大幅に上回る水準で推移しており、9月末の民間在庫量は8万トン(前年同月比41.6%増)となった。

 USDAは、生産量と在庫量が減少傾向で推移していることを踏まえ、第4四半期のバター価格について、同123.0〜129.0セント(同323〜338)としていた見通しを上方修正したが、修正後の予測でも前年を10%以上下回る同124.8〜131.8セント(同327〜346円)と見込まれている。


● ● ● 脱脂粉乳の卸売価格は、国際需要に支えられ回復 ● ● ●

 バター同様、低迷している脱脂粉乳の卸売価格は、7月以降急速に回復している。脱脂粉乳の生産量は6月以降、前年を下回って推移し、第3四半期は、10万4千トン(前年同期比14.1%減)となった。一方、強い国際需要によって8月以降急激に価格が上昇しており、10月の取引価格は前年同月を2.1%上回るポンド当たり100.1セント(キログラム当たり256円)となっている。脱脂粉乳の価格は、第2四半期には同80セント台前半(約209円)で停滞していた。

 USDAは、世界的な好況により脱脂粉乳の国際的な需要の強さは続くとみており、米国の価格がほかの輸出国と比べ競争に有利な水準にあるとの見方と併せて、2006年中は強い輸出競争力が維持されるとの見解を示している。

脱脂粉乳卸売価格の推移

資料:USDA「Dairy Market News」


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