チリ、日本とのEPA交渉に大筋合意


農産物輸出品目の約9割が特恵の対象に

 チリ外務省国際経済関係総局(DIRECON)は9月25日、日・チリ経済連携協定(EPA)が大筋で合意に達したことを公表した。今後は11月6日に予定されている第5回交渉で最終合意に至るものとみられる。

 DIRECONのフルチェ局長は農業部門に関するコメントとして「日本向け農産物輸出の53%は、協定発効後に関税が即時撤廃、また35%は関税割当が適用されることとなり、農業分野は本交渉の中で最も恩恵を受けた分野の一つと言える」と述べた。農産物輸出品目の90%が無税あるいは特恵関税によって日本市場に輸出されることになり、輸出量から見るとチリにとって大変成功した交渉であったと評価している。


畜産分野では明暗を分ける

 畜産の分野では、牛肉、豚肉および鶏肉に対して関税割当が適用されることとなった。

 チリ養鶏生産者協会(APA)およびチリ養豚生産者協会(ASPROCER)は、この結果を受けて「豚肉および鶏肉部門はこの交渉にさらに大きな期待を寄せていたが、農業部門全体で得た結果を見ると、両部門が得た成果はかなり満足すべきものと言える」と評価している。 

 一方、乳製品は除外品目として扱われ、協定発効から2年目以降に再協議となった乳業部門は一様に失望の色を隠せずにいる。乳製品輸出協会(Exporlac)のサモラ会長は、「政府は乳業部門を交渉の優先事項とも重要事項ともみなしていなかった」と発言し、さらにジャンキウエ州農業関連企業組合(Agrollanquihue)のシュエルター理事長は、「我々の輸出先はメキシコに集中しているが、同国向けの年間1万7千トンというチーズ輸出量は、日本の輸入量の8%にすぎないため、今回の交渉で輸出の多様化と拡大を大いに期待していた」と述べている。

 これに関して、フルチェ局長は「政府としても同部門の立場を理解しているが、日本にとって乳製品はセンシティブ品目であり、現段階で日本からチリ側に何らかの関税への特恵を示すことはできなかった。しかし、日本への輸出を行っているほかの国と同様、日本側が現在の市場アクセスを悪化させることはない」とあらためて強調している。


日本向け農林産物輸出額は増加傾向に

 チリ農業省・農業政策局(ODEPA)によると、2005年のチリから日本向けの農林産物輸出額は前年比6.5%増の6億5千万ドル(773億5千万円:1ドル=119円)で農林産物輸出総額の8.1%を占めた。日本向けの内訳をみると、林産物が2億7,900万ドル(332億円)で全体の42.8%、畜産物は2億3,400万ドル(278億5千万円)で同36.0%、農産物が1億3,800万ドル(164億2千万円)で同21.2%を占めている。一方、輸入額は101万ドル(1億2千万円)で農産物が9割を占めている。

日本向け農林産物の輸出額推移 


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