チリ、アルゼンチン産乳製品に対し暫定SGを発動


アルゼンチン産乳製品3品を対象

 ロハス農相は10月6日、大統領の諮問機関である調査委員会がアルゼンチン産の牛乳、粉乳およびゴーダチーズに対し23%に関税を引き上げる(対象品目のメルコスル域内関税は0%)暫定セーフガード(SG)を発動すると決定したことに満足の意を表した。   

 全国生乳生産者連盟(FEDELECHE)は、主に乳製品の国内在庫の増加と安価なアルゼンチン産乳製品の輸入増加によって本年8月頃から引き起こされた生乳生産者価格の下落を抑えるため、SGの発動を要請しており、これを考慮したものとみられる。

 ロハス農相は今回の暫定SGの発動について「第8、9、10州に集中している1万6千人の酪農生産者の利益を守ることが重要であり、アルゼンチンとの間には何の問題もない」ことを強調し、さらに暫定SG発動によって、同部門における競争力の強化を今後の課題として挙げている。

 オソルノ生乳生産者組合(APROLECHE)によると、生乳価格は昨年に比べ1リットル当たり平均18ペソ(3.6円:1ペソ=0.2円)低下している。


暫定SGは10月13日から発動

 調査委員会の決定を受け、チリ財務省は10月13日、アルゼンチン産乳製品に対する暫定SGの発動を官報で公示した。対象となるのは、前述の3品目で、国内生産へ与える影響が少ないとされた粉末および液状クリーム並びにアルゼンチン産を除く輸入乳製品については対象外となった。この措置は官報公示の10月13日から有効となり、最長200日間の暫定SGの発動期間中にSG発動の最終決定のための調査が行われる。

 これに対し、アルゼンチン側からは正式なコメントは出されていないが、現地報道によると、関係者は「アルゼンチン産乳製品は国際価格と同等であり、この制裁措置は不当である」と強く抗議するとともに、民間部門および政府関係者の共通見解として、「チリ国内における乳製品生産量は前年に比べ増加していることから、アルゼンチン産乳製品の輸入増加を理由とした損害は存在しないはずである」と反論している。


アルゼンチン産乳製品の輸入量は前年比大幅増

 チリ農業省農業政策局(ODEPA)によると、2006年1〜8月までのアルゼンチン産乳製品の輸入について、輸入額は前年比116.4%増の4,608万ドル(54億8千万円:1ドル=119円)となり、チリの乳製品総輸入額の約7割を占めている。また、主要品目の輸入量は以下のとおりである。


元のページに戻る