米国、輸出需要の高まりにより豚肉生産は拡大


2006年豚肉生産量、過去最高の前年を上回る水準で推移

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が9月29日に公表した豚飼養動向調査結果によると、2006年9月1日現在の豚総飼養頭数は、前年同期比1.4%増の6,270万頭と、ここ10年間で2番目に多い結果となった。また、飼養頭数が全米全体の25%強を占めるアイオワ州では、同1.8%増の1,690万頭となった。

 同省経済調査局(USDA/ERS)によると、同州など米北部中央地域における養豚一貫経営生産者は、近年、飼養頭数が増加しているにもかかわらず、2004年2月以降毎月連続して収益を上げているとしている。また、米国のアナリストは、今後、少なくとも2007年6月までは、生産者が継続的に収益を確保出来るものと予測している。

 このように近年、飼養頭数が増加傾向で推移していること、また、繁殖母豚の増加に加え、一腹当たりの平均産子数の増加などから、米国の豚肉生産量は2001年以降、毎年前年を上回って推移している。2006年上半期の豚と畜頭数は前年同期比0.9%増、豚肉生産量は同1.6%増の468万トンと、過去最高を記録した2005年を上回る水準となっている。


輸出需要の拡大が豚肉生産増大の要因

 米国の豚肉生産の増大は、近年の輸出需要の拡大が大きな要因の一つとされている。USDA/ERSによると、豚肉輸出量は91年以降、15年連続して前年を上回って推移し、特に2004年、2005年では、諸外国における鳥インフルエンザの発生などによる米国産豚肉に対する需要の高まりを背景に、それぞれ前年比26.9%増、同22.0%増と大幅に拡大した。

 2006年上半期の輸出量は、為替が米ドル安で推移したことなどから引き続き好調を維持し、前年同期比15.3%増の70万トンと、生産量同様、記録的となった前年を上回る水準となっている。


豚肉生産拡大も肉豚価格は第3四半期以降上昇基調

 一方、米国内の肥育豚価格を見ると、2005年中旬以降、生産量の増加などにより連続して前年同月を下回り、2006年上半期の平均価格は、前年同期比12.5%安の100ポンド当たり45.5ドル(5,415円:1ドル=119円)と軟調に推移した。しかし、本年6月以降は、前年を上回って推移し、第3四半期の平均価格は、同3.8%高の同52.4ドル(6,236円)と上昇基調となっている。

 USDAでは、本年7月のと畜頭数が前年同月を2.9%上回ったにもかかわらず、肥育豚価格が前年同月を3.9%上回ったことについて、豚肉製品に対する継続的な高い需要および米国におけると畜能力の拡大などを背景とした食肉処理加工業者による引き合いの活発化が要因と分析している。

 USDAによると、2006年上半期に前年同期比9.7%増となったカナダからの生体豚輸入は、下半期ではわずかに減少するものの、2006年および2007年ともに2005年の水準を5%程度上回り、その結果、2006年の豚肉生産量は前年比1.5%増の953万トン、2007年ではさらに3%程度拡大するものと見込まれている。


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