2005年の豚肉輸出量はわずかに増加の見込み


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2005年は前年比2.0%増の186万トン ● ● ●

 欧州統計局(EUROSTAT)が公表した2005年のEU(マルタを除く24カ国)の豚肉(生きた豚を含む)輸出量は、前年比2.0%増の186万トンとわずかな増加にとどまる見込みである。2004年の豚肉の輸出量は、輸出相手国として第一位の日本において牛肉の代替としての豚肉需要が増大したことをはじめ、ほかの主要輸出相手国のロシアや韓国などの豚肉需要も増大したことから、前年比20.0%増の183万トンと大幅に増加した。

 しかし、2005年は最大の輸出国である日本市場において、ドル安が進み米国産豚肉との競争が激化したことなどから、輸出の伸びは大きく減少している。2005年1〜9月における日本の米国産豚肉の輸入量が前年同期比12.5%増の22万6千トンと増加したのに対し、デンマーク産は同12.4%減の18万7千トンとかなり大きく減少している。


● ● ● EU15カ国の輸出、3分の2の国が前年を下回る ● ● ●

 2005年の輸出予測を国別に見ると、EU15カ国は第2位のドイツが前年比7.2%増の28万9千トンと前年を上回るものの、第1位のデンマークは前年比9.3%減の56万1千トン、第3位のフランスは同7.8%減の17万2千トンとかなりの程度減少する見込みである。全体の3分の2の国で前年を下回っており、15カ国全体では同4.4%減となっている。

 なお、EUROSTATは、1〜8月におけるデンマーク産豚肉の輸出量は、景気の回復が一段と進むロシアへの輸出が前年比30.0%増の6万トンへ大幅に増加するものの、日本への輸出が大幅に減少することから、同10.0
%減の38万3千トンに減少するとしている。


● ● ● 新規加盟国は前年比8割増の予測 ● ● ●

 一方、新規加盟国(NMS)は、キプロス以外すべての国で前年を上回る見込みとなっている。NMS全体では前年比79.1%増の24万8千トンと大幅に増加するとされており、NMSの好調さがEU25カ国全体の輸出の伸びのけん引役になると言える。NMSの中でも、EU全体で第4位を占めるポーランドの伸びが顕著で、前年の約2倍の15万2千トンとなり、また、第2位のハンガリーも前年比54.6%増の8万トンと大幅に増加する見込みである。EUの輸出全体に占めるNMSの割合は、2004年から6ポイント上昇して13.3%となり、NMSの輸出市場における地位はますます上昇していくものと思われる。

EU25カ国の豚肉(生きた豚を含む)輸出量

資料:EUROSTAT


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