肉牛市場取引価格、輸入再開を織り込み始める


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● フィードロット輸出仕向け需要は低下 ● ● ●

 豪州フィードロット協会(ALFA)は5月16日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)との共同調査による四半期ごとの全国フィードロット飼養頭数調査結果を発表した。これによると、2006年3月末時点のフィードロット飼養頭数は895,676頭となり過去最高を更新した。規模別飼養頭数をみると、飼養頭数が過去最高を更新しているにもかかわらず、これまで増加してきた1万頭超規模の頭数は前年同期を0.2%下回り、また、規模別飼養頭数割合をみても、1万頭超規模の構成割合は前年平均を3.9%下回っている。

 日本の米国産牛肉輸入停止以降である2004年、2005年に、日本向け需要で1万頭超規模が増加しているように、1万頭を超えるフィードロットは主に輸出仕向けとされていることから、今回の調査結果は、米国産牛肉の輸入再開を見越して、輸出仕向け需要が停滞し始めていることがうかがえる。

規模別飼養頭数(3月末)

 資料:ALFA、MLA

規模別飼養頭数割合

 資料:ALFA、MLA

 なお、1万頭超規模のフィードロットを有する州は、クイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州およびビクトリア州の3州のみである。

 

● ● ● フィードロット国内仕向けは増加 ● ● ●

 一方、仕向け先別にみると、日本仕向け、韓国仕向け飼養頭数は、米国産牛肉の輸入再開を視野に減少したが、豪州の好調な経済状況を反映した需要の高まりから、国内仕向け飼養頭数は増加している。

仕向け先別飼養頭数(3月末)

 資料:ALFA、MLA


● ● ● 肉牛市場取引価格、輸入再開を織り込み始める ● ● ●

 肉牛取引の指標となる最新の東部地区若齢牛指標価格(EYCI)によると、日本での米国産牛肉の輸入再開動向などを背景に、5月末は前月比2.7%安のキログラム当たり340豪セント(296円:1豪ドル=87円)と、下げ基調で推移している。豪州の肉牛価格は、昨年12月の日本での米国産牛肉輸入解禁を受けて一時、下落に転じたが、2006年1月の日本市場での米国産牛肉の輸入再禁止措置により、価格は再び上昇に転じていた。

 なお、日本での米国産牛肉の輸入停止以後、豪州産牛肉需要を背景に肉牛価格は約2割程度上昇しており、2005年8月には過去最高水準となるキログラム当たり416豪セント(362円)を記録している。

東部地区若年牛指標価格(EYCI)

資料:MLA


元のページに戻る