2005年のEU25カ国の牛肉輸出は引き続き大幅減少


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 最大の輸出相手国ロシアの大幅減が主因 ● ● ●

 イギリス食肉家畜委員会(MLC)によると、2005年のEU25カ国の牛肉輸出量は、前年比33.5%減の14万9千トンと昨年(▲20.1%)に引き続き大幅に減少した。EUの牛肉輸出量は、域内での生産量の減少に加え、消費量の増加により減少傾向で推移しており、今後もこの傾向が続くと予想される。

 これを輸出先別に見ると、EUの最大の相手国で牛肉輸出量全体の6割を占めるロシア向けが、同43.2%減の9万トンと大幅に減少している。ロシア向けは2004年も前年比23.1%減と大幅に減少しており、MLCは、ロシアへの牛肉輸出シェアが減少している要因として、安価なブラジル産をはじめとした南米産の牛肉との競合が激化していることを挙げている。

EU25カ国の牛肉輸出量の推移

資料:MLC


● ● ● EU最大の牛肉輸出国ドイツ、前年比23.8%の大幅減 ● ● ●

 また、国別に見ると、EUで最も牛肉輸出が多いドイツの輸出量が大きく減少している。2005年のドイツの牛肉輸出量は、前年比23.8%減の31万5千トンと大幅に減少した。同国の輸出先は、全体の9割近くがEU25カ国向けで、その他の地域向けは12%程度を占めるにすぎないが、後者の7割以上をロシア向けが占めており、EUがロシアに輸出する牛肉の四分の一がドイツ産となっている。2005年はすべての国への輸出量が減少したが、その中でもロシア向けは前年比39.4%減の2万8千トンと大幅に減少しており、その減少幅が最も大きい。

ドイツ牛肉輸出量の推移

資料:MLC


● ● ● 生体牛の輸出頭数も前年比25.8%の大幅減 ● ● ●

 牛肉と同様に生体牛の輸出頭数も前年比25.8%減の32万3千頭と大幅に減少している。第一の輸出先であるレバノン向けは、ブラジル産の生体牛との競合激化により前年のほぼ半数の9万頭に減少した。一方、第二の輸出市場であるクロアチアは前年比57%増の8万3千頭と大幅に増加したが、MLCによると、そのうちの約半数をポーランド産が占めている。なお、ポーランドは新規加盟国(NMS)の中で最大の牛飼養国であり、2005年の牛飼養頭数は前年比3.6%増の539万頭(NMS全体の約半数)と、EUのほとんどの国の飼養頭数が前年を割り込む中で増加率が上位にランクされた。

 なお、2005年12月に行われたWTO香港閣僚会議で2013年までに農産物の輸出補助金を撤廃することが合意された。欧州委員会は同月、これらの廃止の最初として、と畜向け生体牛の輸出補助金を撤廃する提案を行っている。

EU25カ国の生体牛輸出の推移
資料:MLC


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