● ● ● 生産量の増加で、卸売価格は下落で推移 ● ● ●
USDA(米国農務省)によると、2006年5月の牛枝肉生産量は前年同月比10.5%増の104万トンとかなりの程度増加した(左図参照)。
と畜頭数は増加傾向にあり、2006年1〜5月のと畜頭数を見るとすべての月で前年同月を上回って推移しており、この5カ月間のと畜頭数は、前年同期比4.2%増の1,349万頭となった。一方、一頭当たりの枝肉重量も、2005年から一貫して前年を上回っており、生産量の増加を後押ししている。なお、2006年5月の一頭当たりの枝肉重量も前年同月比1.7%増の345キログラムとなっている。
このような生産量の増加を受けて、牛肉卸売価格は下落傾向にあり、チョイス級(600〜900ポンド)は前年同月比6.9%安の100ポンド当たり145.95ドル(キログラム当たり364円:1ドル=113円)、セレクト級(600〜900ポンド)は同10.7%安の100ポンド当たり126.65ドル(同316円)となった。
過去3年間のと畜頭数の推移
資料:USDA「Livestock, Dairy
& Poultry Outlook」 |
過去3年間の枝肉重量の推移
資料:USDA「Livestock, Dairy
& Poultry Outlook」 |
● ● ● チョイス級、セレクト級の卸売価格差が拡大 ● ● ●
牛肉生産量の増加を反映して、牛肉卸売価格は、チョイス級、セレクト級ともに2006年1月以降下落傾向にある。しかし、チョイス級とセレクト級の卸売価格の差を比較すると、2005年5月は100ポンド当たり15.06ドル(キログラム当たり38円)であったのに対し、2006年5月は19.3ドル(キログラム当たり48円)となっており、その価格差が拡大している。
チョイス級とセレクト級の卸売価格差は、例年枝肉重量が増加する10月をピークに春にかけて縮小し、バーベキューシーズンを迎える5月に再び大きく開いた後、縮小に転じるというパターンを描いている。これは、4、5月にチョイス級以上を生産する去勢牛、未経産牛のと体重量の減少からチョイス級以上の供給量が減少する一方、5月からのバーベキューシーズンの到来で、ステーキなどに使う高級牛肉に需要が高まるため、チョイス級とセレクト級の価格差が大きくなることがその要因となっている。
しかし、昨年からの牛群再構築による未経産牛のと畜頭数の減少などから2005年9月から2006年5月までの同価格差が10ドルを超える水準で推移しており、セレクト級に比べてチョイス級の引き合いがより強くなるなど、例年とは違った動きを見せている。
USDAによると、今後とも、季節的に枝肉重量の増加が見込めないことから、チョイス級の供給はひっ迫が続くと見込んでいる。
牛肉卸売価格と、(チョイス級・セレクト級)価格差の推移
資料:USDA「Livestock, Dairy
& Poultry Outlook」 |
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