2006年のEU25カ国の生乳供給量は安定して推移する見込み


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2006年は前年と同水準の1億3,238万トンの見込み ● ● ●

 ドイツ市場価格情報センター(ZMP)および欧州統計局(EUROSTAT)によると、2006年におけるEU25カ国の生乳供給量は前年比0.2%増の1億3,238万トンとなり、前年に引き続き安定的に推移する見込みである。EUでは、共通農業政策(CAP)により加盟国別に生乳の生産割当枠を定め生産調整を行うクオータ制度を取っているため、近年の生乳生産量は安定的に推移している。なお、2003年のCAP改革による生産調整は、2014/15年度まで継続することが合意されている。

 また、ZMPなどは、2006年1月は前年同月と比較して2%減少しており、この減少傾向は6月までは続くと予測している。

EUの生乳生産量の推移


資料:ZMP、EUROSTAT

 


● ● ● EU15カ国の生乳供給量はほぼ横ばい ● ● ●

 2006年の生乳生産量を地域別に見ると、全体の9割弱を占めるEU15カ国は、前年比0.1%減の1億1,522万トンとほぼ横ばいとなる見込みである。これを国別に見ると、2005年の生産量が前年を上回っていた第一位のドイツは前年比1.0%減の2,710万トン、第二位のフランスは同1.6%減の2,300万トンとわずかに減少するとみられている。ZMPなどによると、これらの上位生産国はクオータを超過することによる課徴金を回避する目的で、昨年の秋ごろから生乳の減産調整に動いており、2006年3月までのところは前年同期と比較して4〜5%減少しているとされる。

 一方、2005年に前年を割り込んだ第三位のイギリスは、同1.1%増の1,420万トンと逆に増加する見込みである。なお、上位3カ国でEU25カ国の生乳生産量の5割近くを占める構造となっている。


● ● ● 新規加盟国は前年をわずかに上回る ● ● ●

 一方、2004年5月にEUに加盟した新規加盟国(NMS)は、2006年はほとんどの国で前年を上回るとみられており、全体では前年比2.2%増の1,716万トンとわずかに増加すると見込まれている。NMSの伸び率がEU15カ国を上回る傾向が続いているものの、今回の伸び率は2005年(5.5%増)と比較すると小さくなっているが、これは、NMSの生乳生産の半分以上を占め2005年に前年比で10%以上増加したポーランドが同2.2%増と低い伸びにとどまると予測されることが大きな要因となっている。


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