チリ、初のEU向け乳製品加工施設が認定される


大統領が認定施設を訪問

 EU向け乳製品輸出施設が、チリで初の認定を受けたことを祝う式典が5月3日、バチェレ大統領臨席の下、第5州のパンケウエ市にある工場で開催された。EU向け輸出については、EUの要求する衛生に関する一連の条件を満たすことが求められており、ようやく5月1日以降輸出が認められたところで、今回の催しはEUとの連合協定の枠組みの中で新たなステップを意味している。


要求の厳しい市場参入への第一歩と期待

 2002年11月に調印、翌2003年2月に発効したEU・チリ連合協定では、発効時に全輸出品目の約5割の関税が撤廃され、農林水産品については、発効から10年後の2013年にすべてが無税となることになっている。しかし、EU向け乳製品は対象外品目とされたが、チーズについては年間1,500トンの関税割当枠が設けられ、この枠は毎年5%(75トン)ずつ拡大することが定められた。

 この関税枠を利用するためには、EUが要求する衛生条件を満たす必要があり、2005年3月に施設認定のため、EU食品獣医局のミッションによる査察が行われた。これにより追加の条件が出され、チリ側はチリ農牧庁(SAG)が実施する公的管理下家畜施設プログラム(PABCO)、輸出向け乳製品検査システム(SIOLAC)および細菌監視プログラムにおいてEUの要求が包含されることを示し承認された。2006年1月にSAGが最初のチーズ生産工場の登録申請を提出し、EUは4月にこれを認定し、同年5月1日より有効となった。

 大統領に同行したロハス農相は、「チリが農業食品分野で大国となるためには、さまざまな競争に打ち勝たなくてはならず、その競争の大部分は国際市場において厳しさを増す品質基準に関する要求を満たす必要があるということに関連している。われわれは“チリ産”イコール“高品質”というイメージにつながることを期待しており、そのためには家畜衛生や植物防疫の規則やトレーサビリティなどの要求に応えることが重要であると考えている」として、さらに「今後とも要求を満たす努力をし、生産チェーンの各段階と恩恵を共有する輸出企業への支援を続けていく。通商協定は大企業のためではなく、すべての生産者が恩恵を受けるものでなくてはならない」と強調した。

 今回初の認定を受けた施設は、搾乳牛は700頭で、生乳受入量は年間7,300キロリットル、主要乳製品はクリームタイプのチーズで、HACCPやGMPを導入しているほか、ISO9000の認証を受けており、現在はロシア、米国向けの輸出を行っている。


2005年の乳製品輸出は前年比大幅増

 チリ農業省農業政策局(ODEPA)によると、2005年の乳製品輸出について、輸出量は前年比16.0%増の6万8,103トン(製品重量ベース)、総輸出額は同35.7%増の1億1,434万ドル(126億9千万円:1ドル=111円)となった。品目の内訳を見ると、チーズ輸出量は前年比53.9%増の1万7,594トン、輸出額は同65.4%増の4,955万ドル(55億円)、れん乳がそれぞれ同7.6%増の3万3,150トン、同33.6%増の3,898万ドル(43億3千万円)となり、これら2品目で輸出額の8割を占めている。また、国別では、メキシコが総輸出額の66.8%を占める最大の輸出先であり、2005年は前年比50.2%増の7,600万ドル(84億4千万円)となった。そのほかの輸出先としては米国、ペルー、コスタリカがある。チーズについては、メキシコが輸出量全体の96.3%を占めている。


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