全国農相会議、農業貿易の推進などで一致 ● 豪 州


引き続きFTA交渉を積極推進、動物福祉は避けられない問題

 連邦政府と豪州各州(準州を含む)政府の第一次産業大臣による「第一次産業大臣会議」が4月20日、シドニーで開催された。豪州では、農業を含む国内政策の実施に関して各州政府の権限が非常に強く、また、FTA(自由貿易協定)交渉など連邦政府の外交政策についても、各州政府の意向が強く反映される。10回目となる今回の会議では、(1)農業貿易問題、(2)干ばつ対策の見直し、(3)動物福祉問題―などについて委員会より報告がなされ、それを中心に論議が交された。農業関連の主な議題と概略は次のとおり。


○農業貿易問題

 現在のFTAに関する交渉状況に関し、中国、ASEAN、マレーシアおよびアラブ首長国連邦(UAE)との交渉については、農業、食品産業に対して、引き続き政府と協調して推進するよう働きかけることで意見が一致した。また、WTO農業交渉についても、豪州の農民の利益に結びつけるためには、EU、米国、ケアンズグループと密接な関係を維持することが必要との認識で一致した。一方、中国やマレーシア市場などでの食肉、乳製品などの技術的な問題(衛生基準やと畜方法についての争点など)は、今後解決に向かうことについて、各州とも歓迎の意向を示した。


○干ばつ対策の見直し

 干ばつ被害認定地域(例外的環境=EC認定地域)の認定手続きをより速やかに行うため、政府、産業界とで組織する作業グループにより新たに開発された全国農業監視システム(NAMS)が披露された。これに対し、将来の干ばつ対策に向けて有効な手段となるよう作業グループに対し、NAMSへのさまざまなオプションも視野に入れながら、次回の会議までに最終報告の提出を求めるとともに、農家の干ばつへの用意、将来の干ばつ時の管理の改良方策を検討するよう要求した。


○動物福祉問題

 連邦政府の豪州動物衛生協議会(AHA)が豪州の動物福祉基準として作成した草案について意見が交わされ、特に、家畜輸送(国内外)の見直しが最重要案件であることを確認した。なお、次回の会議までに、動物福祉を全国的に推進、実施するための方策や違法活動に対する対応、国際機関の基準などについて、委員会に報告を求めることとした。

 また、先に豪州・ニュージーランド環境保護委員会(ARMCANZ)が決定した2008年1月からの採卵鶏1羽当たりのケージ面積の見直しの実施について議論が交わされ、この決定を支持した。

 なお、今回の会議で各州政府は、動物福祉の問題が農業にとって避けられないものであるとの認識で合意した。


○その他

 減少する農業就労人口を確保するために、州政府、産業が連携をとって農業の役割を教育機関に普及することを確認した。また、各州段階での羊の全国個体識別制度(NLIS)の2007年7月の完全実施の合意、鳥インフルエンザの潜在的脅威に対する報告、BSEおよび口蹄疫に関する継続的な情報収集の実施などが確認された。



元のページに戻る