鳥インフルエンザに係るサーベイランス体制の構築について ● インドネシア


インドネシアで増える人への感染

 世界保健機関(WHO)は6月6日時点での高病原性鳥インフルエンザ(AI)の人への感染状況について、2003年以降、合計で死亡者数が128名、感染者数が225名(感染者数には死亡者数を含む。以下同じ。)に上ったと公表した。

 ASEAN地域では、死亡者数および感染者が世界全体の約8割を占めており、ベトナムでの死亡者数が42名(同93名)で最も多く、以下インドネシアが37名(同49名)、タイが14名(同22名)、カンボジアが6名(同6名)となっている。

 今年に入ってからの状況は、大規模な被害が発生したベトナムとタイでは死亡および感染事例は報告されていないが、インドネシアでは26名の死亡(感染者32名)が確認されるなど、同国の被害は拡大傾向が続いている。


インドネシアにおける対応状況

 インドネシア政府は、5月から6月にかけて小規模な養鶏場や裏庭で飼われている家きんを対象としてワクチン接種を予定していた。計画では約6億ドースのワクチンが必要とされていたが、予算不足により購入できるのは1億2千万ドースにとどまるため計画の見直しが必要であるとされており、ワクチン接種に限ってみても、AIの感染拡大防止体制が十分とはいえない状態である。

 今般、インドネシア政府は独自予算による関連職員への研修と、日本政府からの*貧困農民支援に係る見返り資金を活用して行う「迅速診断キットを用いた鳥インフルエンザ疫学調査能力の強化計画」を組み合わせることにより、鳥への感染を確認できるサーベイランス体制の早期の構築を目指すとしている。2006年における同資金の使用計画は総額約73億ルピア(約9千3百万円、100ルピア=1.28円)で、うち16億ルピア(約2千万円)がAI対策に係る予算額となっている。


日本政府からの援助への期待

 また、日本政府はASEANに対するAI対策支援として、備蓄用抗インフルエンザ・ウィルス薬(タミフル)50万人分と防護用品(防護マスク、消毒液、検査キットなど)70万人分を供与することとし、5月2日(火)にジャカルタにおいて、藪中外務審議官からオン・ケンヨン(Ong Keng Yong)ASEAN事務総長に対する引き渡し式が行われた。

 本件は、昨年12月に開催された日・ASEAN首脳会議で、小泉首相がASEAN統合を支援するために表明した75億円の拠出金を活用して行われ、本年3月に設立された日ASEAN統合基金(JAIF)の事業として実施される。

 抗インフルエンザ・ウィルス薬などの備蓄はシンガポールで行われ、今後数カ月かけて全量がそろえられる予定となっており、この備蓄により、インドネシアおよび他のASEAN域内におけるAIへの迅速な対応が期待される。

(注)貧困農民支援に係る見返り資金

 日本政府は、食料援助、貧困農民支援などにより被援助国が食糧や資機材を調達するのに必要な外貨(円)を供与し、これにより被援助国側に生じた余剰内貨を「見返り資金」として積み立てることを義務付けている。この資金は、被援助国と日本政府との協議を経た上で活用することを規定している。

高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の感染状況


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