米国農務省BSEサーベイランス報告書案を公表


USDAはこれまでのBSEサーベイランスの結果を分析評価

 米国農務省(USDA)は4月28日、これまでのBSEサーベイランスの結果を分析した報告書案を公表した。同報告書案では、米国でのBSEの浸潤は非常に低いと結論付けている。USDAは同報告書案を専門家に5月末までに検証するよう依頼するとしている。

 また、ジョハンズ米農務長官は同日、「われわれが導いた結論は最善であり、科学的にも信用できることを示すため、われわれの分析を厳格な科学的、全体的なレビュープロセスに供している。強化サーベイランスプログラムは、科学的な立場から、われわれに米国におけるBSEの流行は非常に低いと言うことを可能としている。この分析が全体的なレビューにより、非常に科学的な浸潤の推計であると保証されたら、この水準のサーベイランスを継続することには低い正当性しかないことを議論したい。全体的なレビューの結果を得ることを楽しみにしており、これが5月末までに終了することを期待している」と述べ、同報告書案に対する専門家の評価を得た上で、今後のBSEサーベイランスの規模を見直したいとの意向を表明した。


強化サーベイランスでは2年間で約65万頭を検査

 2004年6月1日から開始されたBSE強化サーベイランスでは、2006年5月17日までに全米の5,776施設から647,045頭の採材・検査が行われた。採材された施設の内訳は、レンダリング施設が55%、死亡畜や病畜を専門に扱うと畜施設が31%となっており、この2種類の施設から大半が集められた。採材の対象とされた理由については、死亡牛が89%と大半を占め、歩行困難牛は7%となっている。採材の地域ごとの頭数配分は全米を6地域に分け、各地域での牛の飼養頭数を勘案して行われ、中北部が28%、南西部24%、中西部18%、北東部14%、南東部8%、北西部8%となっている。USDAは全国家畜衛生モニタリングシステム(NAHMS)のデータなどから、中枢神経症状、歩行困難、死亡などのBSE強化サーベイランスの対象となる成牛が年間に445,886頭発生するものと推計しており、強化サーベイランスが約2年間にわたって行われてきたことを考えると、採材が精力的に行われてきた様子がうかがわれる。なお、記録の不備や検査材料の部位が不適切であったなどの理由により評価の対象外とされたものが、このほかに17,533頭あったとされている。

 また、報告書案では強化サーベイランスが開始される以前の99年4月1日までの間に検査された735,213頭も評価の対象とされ、これまでの7年間のBSEサーベイランスの結果が評価されている。USDAは国際獣疫事務局(OIE)のBSEコードにおけるBSEの浸潤の程度を評価するためのタイプAサーベイランスの基準に照らし、米国では30万ポイントの検査が必要とされるのに対し、これをはるかに上回る2,973,804ポイントの検査を行ったとしている。


米国でのBSEの浸潤は成牛100万頭当たり1頭以下

 USDAは、過去のイギリスでのBSEに関するデータなどを基に確立された2種類の数理学的モデルとこれまでの7年間のBSEサーベイランスのデータを用い、米国でのBSEの浸潤を推計した。この結果、BSEの浸潤は成牛4,200万頭に対し95%の信頼度で最大で4〜7頭とし、BSEの浸潤は成牛100万頭に対し1頭以下であり、非常に低いものと結論付けている。


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