USDA、日本向け牛肉輸出施設35施設を査察
米国農務省(USDA)は5月19日、米国産牛肉に脊柱の混入が確認されたために、日本の米国産牛肉の輸入一時停止が継続されている問題に関連し、4月24日から5月4日までの間に今回の問題の発端となった子牛肉の製造施設2施設などを除く35施設に対して行った査察結果を公表した。査察はISOの定める基準にのっとり、USDAの査察官により日本政府からの要望も考慮して作成されたチェックリストを用いて行われた。
日本向け輸出証明(EV)プログラムではこれまで40施設がUSDAにより承認され同プログラムのリスト上に掲載されたが、今回の査察は問題の発端となった子牛肉の製造施設2施設、日本向けEVリストから既に削除されていた1施設、既に施設が閉鎖されていた2施設の計5施設を除く、35施設について行われた。なお、この35施設のうち、2005年12月13日から本年1月20日までの間に実際に日本へ牛肉、牛内臓を輸出していたのは25施設であった。
査察が行われた施設のうち対日輸出が行われていた社名およびFSIS認定工場番号
1 American Foods Group(410)
2 Brawley Beef(21488)
3 Cargill Meat Solutions(86R,86M,86K)
4 Creekstone Farm Premium Beef(27)
5 Greater Omaha Packing Company (960/960A)
6 Harris Ranch Beef Company(783)
7 Masami Foods(6173)
8 Moyer Packing Company(1311)
9 National Beef Packing Company(208A,262)
10 Nebraska Beef Ltd. (19336)
11 PM Beef Holdings(683)
12 Premium Protein Products(27472)
13 Smithfield Beef Group, Packerland Packing Company(562M,562)
14 Sunland Beef Company(267)
15 Swift Beef Company(969,969G,628)
16 Tyson Fresh Meats(245J,245E,245D)
17 Washington Beef, LLC dba AB Foods(235)
25施設でEVプログラム非適合が認められたものの、すべての製品は問題なし
USDAは35施設の査察の結果、10施設については全く問題が認められず、残る25施設については何らかの非適合が認められたとしている。ただし、いずれの施設の日本向け輸出済み製品について、生産記録、出荷記録などを追跡調査した結果、月齢証明書または生理学的成熟度により20カ月齢以下であることが確認された牛または牛枝肉から製造されていた。さらに、内臓については日本向けに輸出されていたのはタンのみであり、ロース肉などの脊柱と関連のある製品の多くは骨なし肉であり、骨付きの製品についても脊柱の除去が確認されたことから、頭蓋、脊柱、脊髄、回腸遠位端などのEVプログラムに定められた部位が日本向けの製品中に存在しなかったことが確認されたとしている。
USDAは重要度の高い非適合の事例として、ある施設では一つのロットについて牛の月齢を証明する証明書を入手していなかった(その後の追跡調査により当該ロットは20カ月齢以下であったことが確認されている)などの事例を挙げている。また、重要度の低い非適合の事例として、記録は汚損などを防止するよう保管されなければならないにもかかわらず品質マニュアル上にそのような記載がなかったなどの事例を挙げている。
USDAは、当該施設が日本向けEVプログラムのリストへの記載を継続するためには、非適合事項のうち重要度の高いものについては15営業日以内、重要度の低いものについては30営業日以内にそれぞれ是正されなければならず、今回確認された非適合はすべて5月末までには解消されるとしている。
なお、当然ではあるが、査察期間中は日本向け製品の製造は行われていなかったために、実際の日本向け製品の製造そのものは確認されていない。
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