鳥インフルエンザによる輸出価格の低迷などが業績に影響
米国の食肉関連企業最大手であるタイソンフーズ社は4月19日、同社の2006年第2四半期の業績の中間報告を行い、同四半期の業績は当初予測を下回る見込みであることを公表した。
特に同社の主力である鶏肉については、(1)世界的な鳥インフルエンザH5N1の発生により、当初の見込みよりも輸出価格が低いこと、(2)国内でのむね肉の価格が記録的な低価格で推移していること−などを業績低迷の要因として挙げている。
また、牛肉については、(1)生体価格は徐々に下がってきているものの、部分肉の卸売価格も下がっており、マ―ジンを確保しにくい状況が継続していること、(2)生産性の向上を図るためにネブラスカ州の1施設およびアイオワ州の2施設を閉鎖し、新たにネブラスカ州ダコタに施設を建設したことに伴う損益を計上したこと、(3)韓国や日本をはじめとする主要な海外市場への輸出の再開が当初見込んだよりも遅れていること−を要因として挙げている。
豚肉については、(1)他のたんぱく質との市場での競争が厳しい環境に在ること、(2)トウモロコシや石油燃料の値上げの影響を要因として挙げている。
同社は、最終的な同期の業績の公表は5月1日に行うとしつつも、同社の業績に影響を与える不確定要素として以下の14項目を挙げている。
(1)生体や飼料といった原料のコストや入手可能性の変化
(2)関連するたんぱく質の需給や価格などの最終製品の市況
(3)金融資産の適切な評価やヘッジ活動に伴うリスク
(4)為替変動や輸出入制限を含めた海外の経済および海外市場へのアクセス
(5)同社により所有されている家畜、同社による家畜の購入の際の入手可能性または特定の市場へのアクセスに影響し得る鳥インフルエンザやBSEなどの家畜伝染病の発生
(6)既存の施設の合理化の成功と施設の適切な操業
(7)雇用および契約生産に伴うコストや入手可能性の変化
(8)製品の回収、法令の順守、苦情および訴訟に伴う費用を含む食品安全に関する事項
(9)敗訴に伴う負の影響
(10)借入金利の上昇や変動によるコストリスク
(11)会計基準、環境規制、雇用、健康・安全に関する法規の変更
(12)同社による企業合併の能力および既存施設の新分野への参入の成功
(13)宣伝およびマーケティング活動の効果
(14)一般経済の概況の変化とその影響
◎米国・中国での食品安全および動植物検疫に関する合意
ジョハンズ米農務長官は4月11日、中国との動植物検疫および食品安全に関する覚え書きに署名したことを公表した。
当該覚え書きでは二国間で食品に関する規制や基準、検査や検疫手続き、動植物の疾病、有害な農薬などの残留、食品に関する証明書などについて情報交換を行うことが合意された。
また、同日、米国農務省(USDA)は、米国と中国の両政府間で米国産牛肉の中国による条件付き輸入再開に合意したことを公表した。条件の詳細は今後両国政府の専門家間で協議される。
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