2005年も牛飼養頭数はわずかに減少


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2005年の減少幅は1%を割り込む ● ● ●

 イギリス食肉家畜委員会(MLC)がこのほど公表した2005年のEU25カ国の牛飼養頭数は、前年比0.7%減の8,580万頭とわずかに減少した。EUで猛威を振るったBSEの影響により、EU域内の牛飼養頭数は96年以降10年連続で減少したこととなるが、その減少幅は次第に小さくなってきている。

 2005年の飼養状況を地域別にみると、全体の9割弱を占めるEU15カ国が前年比1.0%減の7,566万頭となる一方、2005年4月にEUに新規加盟したNMS10カ国は、経済発展による牛肉需要の増大により同1.7%増の994万頭と増加に転じた。


● ● ● EU15カ国、ギリシャ以外前年を下回る ● ● ●

 EU15カ国のうち、最も飼養頭数が少ないギリシャ以外の国は軒並み前年を下回った。しかし、域内で飼養頭数が最大のフランスが前年比0.1%減の1,893万頭、第二位のドイツが0.1%減の1,292万頭とそれぞれの減少幅が極めて小さかったことがEU15カ国の縮小幅を最小限に抑えた主因と言える。

 一方、NMSについては、その中でも飼養頭数が最も多いポーランドを含む5カ国が前年を上回った。特に、ポーランドの飼養頭数はNMSの半数以上を占めるとともに、EU全体の中でも7位であり、前年比3.6%増の539万頭となった。


● ● ● 中期的には横ばいもしくは減少の見込み ● ● ●

 これをカテゴリー別にみると、1歳以上の雌牛(と畜用)が前年比4.9%増の282万頭とやや増加した以外はすべてのカテゴリーで減少したが、その減少幅はそれぞれ2%以内とわずかである。EUは生産とは切り離した直接支払い(デカップリング)制度を推進しており、今後は小規模肉用牛農家の離農などが予想されることから、中期的に見ると域内の牛飼養頭数は横ばいもしくは減少傾向で推移するものと思われる。なお、欧州委員会が2006年2月に発表したEU25カ国の牛肉需給の中期予測によると、2012年の域内の牛肉生産量は、2004年と比較して4.1%減の763万トンと減少すると見込まれている。

EU25カ国の国別牛飼養頭数

EU25カ国のカテゴリー別牛飼養頭数


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