2005年のEU15カ国の脱脂粉乳生産量は前年比1.5%増


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● EU15カ国は前年比1.5%の増加 ● ● ●

 ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、2005年におけるEU15カ国の脱脂粉乳生産量は、前年比1.5%増の83万6千トンとわずかに増加した。2004年の生産量の伸び率は、フランスなどの上位生産国が大幅に減少するなど多くの国で前年を下回ったことから、前年比20.1%の大幅減少となっていたが、脱脂粉乳の生産動向は2005年末の段階ではいったん上昇に転じた。

 脱脂粉乳の生産が増加に転じた要因として、業界関係者によると近年は飼料としての需要が高まっていることに加えて、輸出補助金を消化するための駆け込み的な需要増が加わったためとする見方もある。こうしたことから、最近の脱脂粉乳の域内価格は、介入買入価格より10%程度の高値で推移していると伝えられる。

EUの脱脂粉乳生産量


資料:ZMP

 なお、欧州委員会は、2004年の大幅な減少の背景には、近年需要が増大するチーズなどの高付加価値製品の生産が増加傾向にあることを挙げており、その基調は今後も続くと予測していることから、脱脂粉乳の生産は再び減少に転じる可能性もある。


● ● ● 主要生産国が増加に転じる ● ● ●

 EU15カ国の脱脂粉乳の生産状況を国別に見ると、域内で最も生産量が多いフランスが前年比18.9%増の27万4千トンと大幅に増加したほか、第二位のドイツが同5.3%増の23万1千トン、次いでベルギーが同1.8%増の7万5千トンといずれも増加に転じている。一方、2004年に24.4%と大幅に減少した第四位のイギリスは、2005年も21.3%減の6万9千トンと引き続き大幅な減少が続いている。

 また、2004年5月にEUに新規加盟したNMS諸国について見ると、前年を割り込んだ国が多い中で、EU25カ国全体で見ても第三位の生産国であるポーランドが同12.0%増の14万トンとかなり大きく増加したことから、NMSの伸び率はEU15カ国を上回った可能性が高い。現在、NMSの脱脂粉乳の生産量はEU全体の2割を占めており、欧州委員会は、今後この割合は拡大すると予測している。


● ● ● 2006年以降の生産は伸びが鈍化する見通しも ● ● ●

 ZMPによると、こうした脱脂粉乳生産の増加傾向は2006年も続く可能性はあるものの、その増加率は2005年より小さくなるとしている。

 最近の脱脂粉乳の需要増から、2006年1月末に7,624トンであった介入在庫量は、2月から3月にかけて激減し4月末にはゼロとなっている。EUではこれから生乳生産が増加する季節を迎えるが、介入価格の引下げや輸出補助金の削減が行われる中で、今後の脱脂粉乳の生産や価格動向が注目される。


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