2005年のデンマークの生体豚輸出は大幅に増加


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 生体豚の輸出量、前年比39.1%の増加 ● ● ●

 欧州統計局(EUROSTAT)はこのほど、2005年のデンマークの生体豚および豚肉の輸出量を公表した。それによると、2005年の生体豚の輸出量は、前年比39.1%増の327万2千頭と大幅に増加した。これを輸出先別に見ると、全体の9割を占めるドイツが前年比32.7%増の298万頭、第二位のオランダが約5倍の13万2千頭、次いでイタリアが同62.3%増の7万頭、また、2004年5月にEUに加盟したポーランドが約4倍の5万頭といずれも大幅に増加した。デンマークからの生体豚の輸出は近年大きく伸びており、2005年の伸び率は2004年のそれの3倍以上となっている。

 同国の生体豚の輸出が大きく伸びている背景として、同国内の畜産を取り巻く環境規制が厳しくなっていることや、同国がドイツやポーランドのような加工経費が割安な国への輸出を増やし、そこでと畜加工を行った上で豚肉や豚肉製品の輸出を行っていることが挙げられる。なお、ドイツ以外への輸出はまだ少ないものの、ポーランドに対するこの2年間の輸出量の伸びは約250倍と極めて大きくなっている。

デンマークの生体豚輸出の推移


● ● ● 豚肉輸出は3%の減少、対日輸出の不振も要因 ● ● ●

 一方、2005年の豚肉(冷蔵および冷凍)の輸出量は、前年比3.0%減の113万1千トンとわずかに減少した。輸出先別に見ると、全体の約7割を占めるEU域内への輸出は前年比5.7%増の76万トンとやや増加したものの、日本への輸出は同21.4%減の22万トンと大幅に減少し、2004年に24%を占めた日本のシェアも2割を割り込んでいる。

デンマークの豚肉輸出量の推移

資料:EUROSTAT


● ● ● 輸出の増加で豚肉価格も上昇傾向 ● ● ●

 生体豚および豚肉の域内輸出の増加を受け、デンマークの豚肉価格も上昇傾向にある。同国の養豚業関係者によると、キログラム当たりの豚肉価格は2006年2月末の8.5クローネ(166円:1クローネ=19.5円)から4月末には9.5クローネ(185円)へ上昇すると予測されている。業界筋は、輸出の増加に加えてEU域内のハムおよびベーコンの価格が上昇していること、欧州で猛威を振るう鳥インフルエンザの影響で鶏肉需要の一部が豚肉へシフトしていることなどが豚肉の高値傾向の要因と分析している。また、原油高により好景気が続くロシアからの引き合いが強く、輸出価格が上昇していることも要因の一つと見る向きもある。


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