欧州委、ドイツでの豚コレラ再発で対策をさらに強化


 欧州委員会は4月6日、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州で3月以降豚コレラが再発していることから、同疾病を撲滅するため、同国での対策をさらに強化する委員会決定を適用した。


3月初めに豚コレラが発生

 ドイツ当局は3月3日、欧州委員会に、同国中西部のノルトライン・ヴェストファーレン州の3カ所の養豚場において豚コレラが発生したことを報告した。同地方では、これまでもイノシシにおいて同病の感染が確認されており、当該地域では、イノシシへのワクチンの経口投与および豚の移動制限が実施されていたが、本発生は、制限地域とは異なる場所での発生であった。

 ドイツ当局は、本発生を受け、豚コレラの管理のための理事会指令(2001/89/EC)に基づく対策を適用した。本指令に基づき、(1)発生農場およびその周囲半径1キロメートルに位置するすべての養豚場の豚を殺処分、(2)発生農場の周囲半径3キロメートル以内を防疫区域(最低30日間の移動制限)、同10キロメートル以内を監視区域(最低21日間の移動制限)、さらに同20キロメートル以内を緩衝地域(最低10日間の移動制限)の設定−などを行った。


3月末の再発生で、委員会決定を適用

 欧州委員会は3月28日、同州において豚コレラに対する対策を実施してきたにもかかわらず、4例目となる事例が確認されたことにより、ドイツの同病の防疫対策に関する委員会決定(2006/254/EC)を適用した。

 本決定では、(1)同州の養豚農場における豚の移動の禁止、(2)ドイツ国内外を含め同州以外への豚の輸送の禁止−などが定められており、これらの特例として、と畜のために直接と畜場に輸送する場合を除くとしている。なお、(1)の移動の特例の条件としては、同州からと畜のために移動する豚は、同州内のすべての豚に接触することなく、主要道路や鉄道を利用する場合に認められる。(2)の輸送の特例の条件としては、輸送前に少なくとも30日間同じ農場で飼養されていたもの、および輸送前の30日間に生体豚を導入していない農場からの場合に認められる。


4月初めの再発生で対策をさらに強化

 欧州委員会は4月6日、同州の養豚農場で、新たに2例の豚コレラの発生が確認されたことに伴い、委員会決定(2006/254/EC)で実施する対策をさらに強化する委員会決定(2006/274/EC)を適用した。なお、新たに確認された2件のうちの1件は、これまで設定されていた監視区域外での発生であった。

 新たに適用された委員会決定では、ドイツ全域における国外への豚の輸送を禁止した。この特例として、同州以外のドイツの農場から、直接と畜のために輸送されるものを除くとしている。この条件として、輸送前60日間は、同農場に生体豚が導入されていないことなどとしている。

 また、前回の委員会決定(2006/254/EC)と同様に、直接と畜場に輸送する場合以外は、同州の養豚場における豚の移動を禁止した。前回同様の特例措置はあるが、今回は、本決定の適用後、10日間は、特例を認めないこととしている。

 さらに、ドイツを含む加盟国は、同州内のと畜場に豚を輸送してはならないこととした。なお、加盟国は、ドイツ国内で豚の移動のため使用した車両、または、ドイツ国内の養豚農家に出入りした車両は、洗浄と2回の消毒を実施し、少なくとも3日間は輸送を一時停止しなければならないとしている。

 なお、本決定は5月15日まで適用されることとなっている。


対策を緩和

 欧州委員会は4月21日、豚コレラの発生地に設定した監視区域内の豚の移動制限において、豚の飼養が過密となっており、動物福祉の観点から、一定条件の下、同区域内の他の養豚農場に移動しても良い委員会決定を官報に掲載した。移動の条件としては、疾病が潜伏していないことを確かめるため、豚の移動前に特別な臨床検査や研究所での検査が義務付けられ、また、ドイツ当局は、承認した移動を欧州委員会に報告することとしている。

 また、欧州委員会は4月27日、同国内において、同疾病が3週間以上発生していないことから、いくつかの対策を緩和する委員会決定を官報に掲載した。緩和された内容は以下のとおり。

・出荷前45日間に、生体豚が導入されていない同州以外のドイツの農場から、他の加盟国へ出荷が可能

・これまでは、州全域を対象としていた制限措置を縮小

・加盟国が、ドイツ国内で豚の移動のため使用した車両、または、ドイツ国内の養豚農家に出入りした車両は、ドイツ域外で使用する前に、最後の作業を終えた後、洗浄と2回の消毒をしなければならないこと(これまでは、洗浄と2回の消毒を実施し、少なくとも3日間は輸送を一時停止しなければならなかった)

 さらに、欧州委員会は5月5日、同国内において、同疾病が5週間以上発生していないことから、出荷前45日間に生体豚の導入がないことを条件としていた生体豚の出荷条件を、30日間とする委員会決定を官報に掲載している。


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