アルゼンチン、政府と食肉団体が牛肉価格引下げに合意


11カットの小売価格を引き下げ

 アルゼンチン政府は、3月13日、海外の需要に関係した牛肉価格の上昇がみられたことから、向こう180日間にわたる牛肉の輸出停止を定めた。その後、アルゼンチン政府の牛肉輸出禁止措置に反対し、関係者数千人が参加する抗議集会やデモが行われるなど、政府と畜産部門との関係が緊張を増す中、リニエルス市場における生体牛価格に低下が見られることや主要畜産関係団体が合意した政府への提案が出されたことなどから、政府は食肉団体と交渉の場を持ち、4月6日、骨付きバラなど11カットの小売価格に指標価格を設け、牛肉の価格引き下げに合意したことを公表した。この指標価格は2006年12月末日まで維持されることになる。


値下がりが見られれば輸出再開も

 今回の合意に当たり、経済生産省は、食肉業界が発展、成長し、結果として国内市場と輸出市場向けの供給で問題が生じることがないよう、中長期にわたる畜産計画を策定するための一連の対策を検討していくことを明らかにし、食肉関係団体と共同で設置する合同監視委員会において、以下の項目についてフォローするとしている。

・消費者向け牛肉価格
・月当たり18万トンを下回らない生体牛の安定供給
・国内市場向け販売網の段階的な近代化
・輸出に関する調査。特に加工処理施設を有しない輸出業者に対する調査

 また、今後、以下の事項についても検討するとしている。

・トレーサビリティの全国的な普及、と畜重量制限の中止、監視対象部位の関税番号による識別化などに関する規則の導入
・牧草と肥料導入のための支援、衛生対策、小規模生産者を含む生産性向上のための財政支援、畜産計画などの対策を通じた生産性および供給の向上

 なお、政府は今回の合意により、供給と価格に一定の効果が見られ次第、条件付きで輸出再開を認めるとしている。輸出再開の対象となるのは、(1)高級部位、(2)格付け等級のD、E、Fクラスの雌牛およびNクラスの去勢牛の冷蔵および冷凍・加熱処理肉、(3)前四分体については2005年輸出量実績の30%相当量−である。さらに、2006年4〜6月の間は輸出業者ごとに前年同期の50%相当の輸出量が割当枠として認められるが、この枠については今後の供給実績により変更されるとしている。

 なお、輸出再開についてミチェリ経済相は、「価格引下げの今回の合意がいつ反映されるかを見極める必要がある」と発言するにとどまり、輸出再開の具体的な時期については明言を避けている。


各団体は今回の合意に満足の意を表明

 一方、大統領官邸における合意の席で署名を行った食肉団体の各代表は、交渉に前進が見られたことに一応の満足を表明した。アルゼンチン農牧協会(SRA)のミーゲンス会長は「家畜と食肉を結ぶチェーンがまとまったことを評価したい」と述べ、また農協連盟(CONINAGRO)のジオイーノ代表は「今回の合意で国内消費と輸出の両面を保証することになり、これはすべての関係者にとって重要なことであり、今回関係者全員が一つのテーブルにつき、スタート地点にこぎつけたことに満足している」とコメントしている。


元のページに戻る