2005/06年度生産者支払乳価、4.07NZドルへ
ニュージーランド(NZ)の巨大乳業会社フォンテラは4月11日、2005/06年度の生乳生産者に対する支払乳価(乳固形分ベース)をキログラム当たり4.07NZドル(305円:1NZドル=75円)に引き上げると発表した。
フォンテラの2005/06年度の支払乳価引き上げは、今回が2度目となる。当初の支払乳価は、国際乳製品価格の下落見込みから前年度比16%減の3.85NZドル(289円)とされていたが、2005年12月にフォンテラ内部のコスト削減効果から4NZドル(300円)に引き上げられた。今回は、米ドルに対しNZドル高で続いた為替相場が、最近、NZドル安に変化してきている影響と引き続き取り組んでいるコスト削減効果により、4.07NZドルに引き上げるとしている。
フォンテラでは、2005/06年度の業績について、天候不順の影響で生乳生産量の伸びが予想を下回り、乳製品などの生産量が当初予想より2%下回ることを見込んでいるが、このような状況の中で、コスト削減やNZドル安が効を奏し、支払乳価の引き上げにつながった形となった。
コスト削減の内容は、乳製品工場の大幅な人員削減や、新しい粉乳機械の導入による生産コストの削減などである。
※乳価の推移(乳固形分ベース)
2003/04年度:4.25NZドル/kg
2004/05年度:4.59NZドル/kg
2005/06年度:4.07NZドル/kg(見込み)
フォンテラ、生産者に生乳の増産を促す
また、生乳生産量の伸びが予想を下回る状況の中、フォンテラのフェリアーCEO(最高経営責任者)は先頃講演を行い、生産者に生乳の増産を求めた。フェリアーCEOによると、世界の乳製品需要は年間2%ずつ増加しており、これによりフォンテラが利益を得るには、フォンテラの国際競争力の維持が必要であり、このためには、乳製品国際価格が長期的に下落傾向にある中、生産コストで他者に負けないことが肝要であるとしている。そして、生産コストで競争力を保つために必要なのは、継続的な生乳生産量の増加としている。フェリアーCEOは、「自然環境を害することなく、生産者の収益を増やすやり方で、生乳生産の増加を図る方法はたくさんある」、「すでに優良な生産者が有する最新の知識や技術などをほかの多くの生産者が採用すれば、生産性は大幅に増加し、その結果、生産者の収入も大幅に増加する」と述べ、生乳生産者の増産努力を促している。
豪州でも生乳確保のため乳価値上げ
一方、フォンテラは、豪州にも進出しているが、豪州では2002/03年度の干ばつの影響で大幅に減少した生乳生産量の回復が十分でなく、乳業各社の生乳確保競争が厳しさを増している。フォンテラも、3月、ビクトリア州の子会社ボンラック関連の生乳生産者に対する支払乳価を引き上げ、さらに4月、西オーストラリア州の子会社ピーター&ブラウン関連の生乳生産者に対しても同様に引き上げを発表し、生乳の確保を図っている。
中国への進出
また、オセアニア以外では、先に中国大手乳業サン・ルー社に資本参加することがフォンテラとサン・ルー社間で合意されたが、4月に中国の温家宝首相がNZ訪問の際、この件に関し同首相から公式に承認が与えられた。サン・ルー社はフォンテラの長年の得意先であるだけでなく、中国国内の600以上の都市に販売網を持ち、近代的な乳業工場も有する企業である。フォンテラのフェリアーCEOは、生乳の供給先を有するサン・ルー社に資本参加することにより、これまでの輸入販売のみの対応でしかなかった中国国内でのフォンテラの事業を拡大できるとみている。
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