第9次マレーシアプランを公表 ● マレーシア


9MPの概要

 マレーシア政府は、3月31日付けで第9次マレーシアプラン(9MP)を公表した。マレーシアプランは5カ年単位の中期国家経済開発計画で、第1次プランは1966年に策定された。今回の9MPは、2006年から2010年までの5年間における経済開発の基本指針となる。

 予算総額は2,000億リンギ(約6兆4千億円:1リンギ=32円)で、これは前回の8MP(2001〜2005年)の予算額1,700億リンギ(5兆4千4百億円)を約18パーセント上回っている。なお、*プライベート・ファイナンス・イニシアティブ(PFI)を含む総額では2,200億リンギ(7兆400億円)を計上している。

 アブドラ首相は、同日、9MPの概要を議会で演説し、主要な施策として次の5項目を強調した。また、国内総生産(GDP)の伸びは、年平均6パーセントを目標としている。

(1)製造業、サービス業および農業の高付加価値化
(2)人材開発推進のための教育改革
(3)社会的、経済的不平等の是正
(4)住宅、交通施設の改良など市民生活の質の改善と維持
(5)制度の改革などによる9MPの実現性の強化

 さらに、9MPの推進を図るための機関(National Implementation Task Force)を設置し、省庁間の調整などを行うこととなった。


農業関係予算は大幅に増加

 農業関係では約114億リンギ(約3千6百億円)が配分されたが、これは前回の予算額(8MP:約77億リンギ(約246億円))に比べ約5割の増加となった。このうち、畜産関係の予算は約5億リンギ(約160億円、前回比256%)となっている。

 農業部門については、製造業、サービス業に続く3番目の重点項目と位置付け、バイオテクノロジーの開発や情報通信技術の活用、農場経営者や従業員の技術の高度化など、農業経営の近代化を進めることにより年5パーセントの成長を目標としている。

 農業省(MOA)は、生産者などに対して、マーケティングや会計、技能講習などのプログラムにより能力開発を行うとしている。

 そのほか、農業部門に関連する施策として、AFTA(アセアン自由貿易地域)内での農産物輸出の拡大、また、イスラム教国であるマレーシアの優位性を生かしながら、ハラル食品の生産やロゴ承認などハラル食品産業の育成を図り、その国際拠点となることを目指すことが計画されている。


畜産関係では肉牛の振興計画

 なお、9MPに関する畜産関係の計画として、農業・農業産業相は、会議において、マレー半島南部のヌグリスンビラン州に国営種畜育成センターを建設し、9MPの最終年である2010年には15万頭の牛の飼育を目指す構想を明らかにした。同センターは、国と州政府により指定された合弁企業が開発、運営を行い、また、海外からの投資を誘致するためにコンサルタントを置くことを決定したとしている。

 マレーシアでは年間約12万トンの牛肉を消費しているが、国内消費量の約8割は海外からの輸入に頼っているのが現状であり、輸入額の削減を図ることがその目的であるとしている。

 農業・農業産業省は、肉牛の振興計画が予定どおり実行された場合、2010年には国内消費量に占める国内産の割合を34パーセントまで高めることになるとしている。


*プライベート・ファイナンス・イニシアティブ(PFI):公共施設等の建設、維持管理、運営などを民間の資金、経営能力および技術的能力を活用して行う手法


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