国際畜産発展大会、中国は畜産業の近代的発展を強調


飼養技術と安全性を高め、総合的な生産能力増強へ

 中国の首都・北京市において先ごろ、中国農業部(農業省に相当)と中国工程院(Chinese Academy of Engineering:国務院(内閣に相当)直属機関の一つ)の共催により、中国農業科学院(中国の全国的な総合農業科学研究機関)が運営主体となって、国際畜産発展大会(International Conference on Livestock Services)が開催された。この大会は、畜産分野における国際的な協力・交流を促進し、各国の科学技術成果の共有と共同発展を目的に開催され、カナダ国際開発庁(CIDA)や世界銀行、国連食糧農業機関(FAO)および国際家畜調査研究所(ILRI)などが協賛している。

 大会の冒頭、牛盾農業部副部長は、改革開放政策以降、中国の畜産業は、農民にとって重要な増収源となっており、農業・農村経済の重要な柱の一つになっていると述べた。そして、中国は2005年に、(1)国内生産量が食肉7,700万トン(枝肉ベース、部分肉ベースまたは精肉ベースの別は不明。以下同じ)、卵2,860万トン(殻付きベース、液卵ベースなどの別は不明。以下同じ)、生乳2,845万トンに達し、基本的に国内需要を満足させていること、(2)一人当たりの消費量が、食肉については世界の平均水準を超える58.5キログラム、卵については先進国並みの21.9キログラムとなったこと、(3)畜産生産額が1兆3千億元(約18兆6千億円:1元=14.3円)となり、農業総生産額の約35%に達していることなどを報告した。

 また、今後の展望について、中国の畜産業は、科学技術力の向上により、優良品種の繁殖・育成と飼料生産、家畜の疾病コントロールなどの体制強化が図られ、大規模化や標準化、産業化などが着実に進展するとともに、畜産物の安全性が高まり、総合的な生産能力が著しく増強されるとした。


市場競争力増加など重点6政策を表明

 牛農業部副部長はこの大会で、中国は次に掲げる6つの重点政策により、近代的な畜産業の発展を強力に推進していくことを表明した。

1 家畜や家きんの育種・改良や新たな優良品種の確立など、市場需要に応じた生産を行い、高品質かつ高能力で効率性・安全性が高い畜産業の発展により、国内畜産業の市場競争力の増加を図る。

2 高品質で安全性の高い飼料の効率的な生産拠点を整備し、現代の畜産業に適応した飼料工業を発展させ、飼料の生産拡大と安全性確保などにより、畜産業の持続的かつ健全な発展を図る。

3 科学的見地に基づく計画に沿った草原の保護・整備を強化し、経済発展と草原の生態保護との関係を保ちつつ、草地に立脚した畜産業の推進により農家の増収を図る。

4 畜産業における科学技術の進歩を加速させるとともに、応用技術の研究・開発を強力に推進し、畜産業に導入される科学技術の向上を図る。

5産業的な畜産経営を積極的に推進し、市場原理の導入によって生産、流通および消費の各段階における調整を図るとともに、畜産業の専門的な協力組織の発展を強力に推進し、市場参入に向けた農家の組織化増強を図る。

6家畜の防疫体制を強化し、家畜疾病の防御レベルを高めるとともに、畜産業の持続的かつ健全な発展を促進し、公衆衛生の向上に努める。


40か国余りが畜産業を通じて交流

 「小規模農家経済の科学的な発展と農村発展の推進」が主要テーマとされた今回の大会には、40を超える国や地域および国際機関の関係者ら500人以上が参加した。そして、最近10年間で各国が蓄積した畜産業や研究開発に関する経験や教訓、畜産業において科学技術が果たす役割、発展段階に応じた小規模農家に対するサービス提供の新たな構想と手法、小規模農家の要望に応じたサービス提供に関する研究・対策などについて踏み込んだ議論が交わされ、畜産業の共通テーマを通じて互いに交流を深め合った。

 中国は今回の大会で、畜産物の生産および消費大国として、各国・地域などとの畜産分野における交流を強化し、技術協力と情報共有を促進することを表明した。そして、現在、世界中で話題となっている鳥インフルエンザの問題に関しては、各国などとも共同で取り組むとともに、それぞれの国・地域が互いに支持・協力し合い、世界の畜産業の持続的かつ健全な発展に貢献するよう呼びかけた。


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