USTR,WTO交渉における先進国の提案を期待


WTO農業交渉における先進国の市場アクセス改善提案に期待

 クラウダー米通商代表部(USTR)首席農業交渉官は4月12日、ワシントンDC内で開催された農業コンサルタント会社主催の会合において講演を行った。同交渉官は香港で開催されたWTO閣僚会合で改めて設定されたモダリティーの交渉期限である4月30日が目前に迫っており、EUや日本をはじめとする先進国が実質的な農業の市場アクセスの改善のために大幅な関税の削減や関税割当枠などの拡大を示すことを期待しているとした。

 講演のうち、WTO交渉に関連する部分の要旨は以下のとおり。

 われわれは現在、ドーハ交渉の重要な時期にある。準備は96年に開始され、シアトルでWTO交渉の立ち上げに失敗した後に、2001年に公式に2004年末までの交渉終結を目標として交渉が立ち上げられた。現在は2006年であるが、12月の香港閣僚会合をはじめいくつかの前進があったが、重大な問題が未解決のままである。香港で改めて設定された関税や貿易わい曲的国内支持の削減方式の合意期限である4月末は目前に迫っている。われわれはこの4月30日という期限に間に合うか危ぐしている。しかし、これは米国のドーハラウンドへの野心と成功に対する公約の欠如を示すものでは一切ない。2007年に大統領の貿易促進権限が期限切れとなる前に、交渉を2006年末までに終結させるためにはすぐに前進が必要なので4月に着目してきた。われわれの目的は関税の削減と議会に国内の要請に合う農業法を設計する十分な柔軟性を維持しつつ世界的な農業補助金の削減により、われわれの新たな輸出機会を最大とすることである。

 香港で輸出補助金撤廃の明確な期限を得ることができたので、問題は残る二つの柱である市場アクセスと国内支持について、数週間のうちに加盟国が立場を変更することを選択するかであり、これを期待している。この過程を成功に導くためにできる努力はすべて行ってきた。われわれはすべてのWTO加盟国の支持と保護を刷新する積極的な提案を行っている。香港以降、不休の交渉を続けてきた。われわれは自らの貿易わい曲的国内支持の大幅な削減を提案する一方でEUや日本をはじめとする先進国に対し、実質的な農業の市場アクセスの改善のために大幅な関税の削減や関税割当枠などの拡大を示すことを求めてきた。また、主要な先進国に対し、彼らがWTOの特別の異なる待遇の規定の下でより一般的な扱いが出来ることは分かっているが、市場アクセスについて意味のある改善を提案することを期待している。われわれはすでにこの過程において自らの関税を卓上に置いているにもかかわらず、われわれの貿易相手先から受ける反応に落胆させられてきた。

 市場アクセスは、異なるレベルの関税削減、重要品目、特別セーフガード措置など、世界でも最も複雑な要素を持つ柱である。交渉過程において常に困難を極めてきた。まず関税の削減方式について合意した後、各国から品目ごとの約束に合意を得なければならない。

 米国は削減対象となる補助金を60%削減し、青の政策も削減するとの提案を行ったが、他国はわれわれにさらなるものを期待している。彼らは、われわれが多くの補助金を青や緑の施策に移行させることにより、米国産品を市場の信号から隔離するシステムを維持することを懸念している。このため、彼らは市場をわい曲しないことを保証するために、例えば作目ごとの上限の設定や支払いのさらなるデカップリングなどの予算の運用に関する特別な約束やさらなる国内支持の削減を期待している。

 ドーハの成功によりもたらされる成果は、われわれの農業収入と政治環境に明確な効果をもたらすであろう。また、FTAはWTOとともに米国の貿易政策の重要な脚であるが、市場の完全な自由化の用意のある国とFTA交渉を行うことにより、WTOにおける貿易相手国に対し圧力をかけ続けることができるので、FTAはその意味においても有効である。


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