最近の牛肉輸出動向、韓国向けを中心に増加


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 市況の好転で牛肉輸出量は増加に転じる、8月は6%の伸び ● ● ●

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は9月、豪州農漁林業省(DAFF)の統計に基づく牛肉輸出量(子牛肉を含む船積み重量ベース、以下同じ)を発表した。これによると、輸出量は4月以降4カ月連続で前年同月を下回っていたが、8月は84,185トンと増加に転じ、前年同月の79,260トンを6%上回る結果となった。ただし、2006年1〜8月で見ると、前年同期を2%下回る605,271トンとなっている。

 米国産牛肉の輸入再開などの影響から、今年に入り、輸出量は昨年水準を下回って推移しているが、MLAは、8月が高い伸びを示した理由について、日本をはじめとする主要輸出国の在庫水準が低いことに加えて、年末需要向けの牛肉の手当てが始まったためと分析している。

 日本向けの8月輸出量は32,469トンとなり、前年同月の30,378トンを7%上回った。2006年1〜8月で見ると、前年度の日本向け輸出量が過去最大を記録したこともあり、前年同期を7%下回る259,848トンとなっている。


● ● ● 韓国向けの8月輸出実績は過去最高を記録 ● ● ●

 一方、韓国向けの8月の牛肉輸出量は15,811トンを記録し、前年同月の12,229トンを29%上回った。この数量は、韓国向け輸出として2004年12月に記録した13,504トンを17%も上回る。また、2006年1〜8月で見ると、前年同期を36%上回り、特にグレインフェッド牛肉は、70%も増えている。MLAは韓国向け輸出増加の要因として、米国産牛肉の輸入再開の遅れにあるとしている。また、日本市場の輸入量の減少が、韓国にとって購入しやすい状況を作り出していることも一因とみている。

 韓国市場は、伝統的に骨付き牛肉を好む市場であり、米国から骨付き牛肉が輸入できないことで、豪州にとって、韓国向け輸出がさらに拡大するとの期待感が出ている。


● ● ● 新たな輸出先として注目されるロシア(CIS)市場 ● ● ●

 新たな輸出先として注目されているのがロシアを中心とするCIS市場である。2006年1〜8月までの牛肉輸出量は9,087トンと、輸出量全体に占める割合は低いものの、2005年の年間輸出量がわずか510トンであったことを考えると、量的には少ないものの著しい増加を示した。MLAはCIS向け輸出増加の要因として、(1)EUから輸入量が減少したこと、(2)口蹄疫の発生によりブラジル産牛肉が輸入禁止となったこと、(3)アルゼンチン政府により同国の牛肉輸出が禁止となったことを挙げている。CISの経済情勢は、原油価格の高騰などを背景に消費意欲が加速しており、牛肉需要に国内の供給が追いつかない状況とみられている。

 輸出品目にも変化が見られ、5年前は輸出量の96%を占めた加工向け牛肉といった低価格帯の製品が、2006年には18%へと低下する一方で、グレインフェッドなど高価格帯の牛肉輸出が増加している。このようなことからMLAでは、部位によっては、日本市場との競争が生まれているとしている。

ロシア(CIS)向け牛肉輸出量

資料: ABARE
  注: 輸出量は、船積み重量ベース


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