2006年のEU25カ国の牛と畜頭数、前年比2%増加の見込み


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2006年は前年比2.0%増の2,911万頭と予測 ● ● ●

 欧州統計局(EUROSTAT)が発表した2006年におけるEU25カ国の牛と畜頭数(輸入生体牛を加味した全体のと畜頭数)は、前年比2.0%増の2,911万頭とわずかに増加する見込みである。

 牛と畜頭数の動向を2003年以前のデータが存在するEU15カ国ベースで見ると、2003年に前年比2.0%減の2,667万頭となって以降、2004年が同1.2%減の2,635万頭、2005年が同5.3%減の2,496万頭と3年連続で減少した。しかし、2006年は25カ国と同様に同2.1%増の2,547万頭と増加に転じると予測されている。2006年のと畜頭数が増加すると予測された要因として、イギリスにおいて、30カ月齢以上(OTM)牛の処分対策が2005年11月に終了したことで同国のと畜頭数が同10.8%増の267万頭と、かなりの程度増加すると見込まれることや、2006年5月に生体牛のEU域内への輸出が解禁されたことが挙げられる。

EUの国別牛と畜頭数の推移

 資料:EUROSTAT

 

● ● ● EU15カ国、上位国の増加などで前年比2.1%増 ● ● ●

 今回の牛と畜頭数を国別に見ると、域内全体の約87%を占めるEU15カ国は、第2位のドイツが前年比0.9%減の430万頭、第3位のイタリアが同1.2%減の280万頭と前年をわずかに下回ったものの、EU15カ国全体の四分の一を占める第1位のフランスが同0.3%増の662万頭、第4位のイギリスが同10.8%増の267万頭と増加したのをはじめ、多くの加盟国のと畜が増加したことから全体では前年比2.1%増の2,547万頭になる見込みである。

EUの牛と畜頭数の推移

 資料:EUROSTAT


● ● ● 新規加盟国の牛と畜頭数は、1.3%の増加にとどまる ● ● ●

 一方、EUの約13%に当たる新規加盟国(NMS)の牛と畜頭数は、その半数以上を占めるポーランドが前年比3.6%増の214万頭とやや増加したものの、第2位のチェコが同8.5%減とかなりの程度減少することから、全体としては同1.3%増加の364万頭にとどまるとされる。チェコ食肉生産者協会は、同国の牛と畜頭数が減少に向かうとしたことについて、海外からのチェコ産肥育素牛の需要が強いことを挙げており、生産者は、より利益が確保できる輸出へ仕向ける傾向を強めているとしている。なお、同協会は、成体牛の輸出増加に伴う牛肉価格の高騰により、2005年における同国の一人当たりの牛肉消費量は、89年の30キログラムから2005年の9.8キログラムへ劇的に減少したとしている。


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