全豪肉牛品評会「ビーフ・オーストラリア 2006」


ひとくちMemo

 畜産業の盛んなクイーンズランド(QLD)州にあって“オーストラリアの肉牛の首都”を自認するロックハンプトンでは、3年に一度、全豪肉牛品評会と位置付けられている「ビーフ・オーストラリア」が開催されている。

 開催年となった2006年は、5月1〜7日の7日間にわたり、地元QLD州はもとより国内各地から多数の肉牛が出品され審査が行われた。会場のあちらこちらでは、品評会の審査結果に一喜一憂する姿が数多く見受けられ、この品評会にかける肉牛生産者の意気込みが伝わってくる。

 この「ビーフ・オーストラリア」は、メインイベントである肉牛の品評会を中心に、農畜産機具の展示や関連商品の販売、また、さまざまな催しなどが行われ、国内外からの来場者を楽しませている。さらに、農畜産業が盛んな土地柄ということもあり、畜産の現場に直接、触れ合える場所として、地元の小・中学生への教育の場としても広く活用されている。


歴史と伝統を誇るこの品評会は、3年に一度の催しとして、地元はもとより国内外の畜産関係者にも広く知れ渡っている。また、7日間の開催期間で、十数万人の入場者を記録する。会場内には農畜産業に関連した各種セミナーや催し、子供用の移動動物園、また、有名シェフによる料理スクールやレストランも出張し、賑わいを見せる。


“BEEF CAPITAL OF AUSTRALIA”の標識や雄牛の像が、来訪者を迎えるこの街の目印



緊張感が高まる審査風景。審査は、開催期間中に数種類のカテゴリーに分けて行われる。会場を訪れていたトラス連邦政府交通・地方サービス大臣(現連邦政府貿易大臣)による表彰式への飛び入り参加や、報道各社による連日の報道など、この品評会への注目度がうかがえる。



品評会前には、一家総出で肉牛の念入りなお手入れ。毛つやの美しさも審査の重要なポイント。



畜産業が盛んな豪州でも、農業後継者の問題は大きな課題。「ビーフ・オーストラリア」では、身近に農畜産業を感じてもらうことが大切と、小・中学生の学習の場として専用のブースを設けるなど、積極的なアピールを行っている。



「ビーフ・オーストラリア」のもう一つの目玉“ロデオ”。馬を巧みに操る技術が求められる。男女ともに、3年間の成果をこの一瞬に賭ける。



このロックハンプトンを含めQLD州一帯は、豪州の主要な畜産生産基地であり、また、畜産業は地域の主要な基幹産業となっている。北部では熱帯種の「ブラーマン」などを中心に飼育され、キャトルステーションと呼ばれる放牧牛の集積地も数多く、国内外への肉牛供給地を形成している。

シドニー駐在員事務所 横田 徹、井田 俊二


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