● ● ● 2005/06年度の生乳供給量、前年度を7.9%上回る ● ● ●
欧州委員会が10月3日に公表したEU25カ国における2005/06年度(2005年4月〜2006年3月)の生乳供給量(速報値)は、前年度を7.9%上回る1億3千6百万トンとなった。EUでは、84年の共通農業政策(CAP)改革により、域内の生乳需給の安定を図る目的で生乳生産割当(クオータ)制度を実施している。これは、生乳生産者が乳業者へ出荷する「出荷クオータ」および生産者が直接消費者へ出荷する「直接クオータ」があり、各加盟国はそれぞれ定められたクオータを超過した場合にはペナルティーとして課徴金が課せられることになっている。なお、クオータ制度が継続する2014/15年度まで毎年度の課徴金単価が設定されており、2005/06年度は1トンの超過について309.1ユーロ(約4万7千円:1ユーロ=151円)となっている。
EU15カ国の生乳供給量は、出荷クオータが前年度と同水準の1億1,798万トン、直接クオータが前年度比4.4%増の104万トンとなった。また、2004年5月に新規に加盟した10カ国(NMS)は、前者が前年度の約2.5倍の1,712万トン、後者が同約2.6倍の32万トンと大幅に増加している。
● ● ● 出荷クオータは9カ国、直接クオータは2カ国が超過 ● ● ●
今回の公表によると、生産者が乳業者へ出荷した生乳量は、EU15カ国では出荷クオータに対して90万トン超過した。国別に見ると、最も超過量が多いのはクオータ超過の常連となっているイタリア(超過量61万トン)で、課徴金は1億8,883万ユーロ(約285億1千万円)となった。それに次ぐドイツ(同20万トン)の課徴金は6,205万ユーロ(約93億7千万円)となり、そのほか、超過量が多い順にオーストリア、スペイン、ルクセンブルグ、ポルトガルとなっている。また、昨年は該当国がなかったNMSでは、全体として超過はないもののポーランド(同30万トン)が9,147万ユーロ(約138億1千万円)、チェコ(同2万トン)が513万ユーロ(約7億7千万円)、キプロス(同2,500トン)が77万ユーロ(約1億2千万円)の課徴金となっている。
一方、直接クオータについても、EU全体で見れば超過していないものの、国別で見るとスペイン(超過量:1,843トン、課徴金:57万ユーロ(約9千万円))およびオランダ(超過量:796トン、課徴金:25万ユーロ(約4千万円))の二カ国が超過した。
2005/06年度の国別生乳供給量およびクオータ超過量
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資料: |
欧州委員会 |
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注1: |
供給量は、実際の供給量を脂肪含有率に応じて補正した数量
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2: |
ポーランドの課徴金は、特例により未使用の「直接クオータ」から「出荷クオータ」への振替えにより減額となる見込み
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● ● ● クオータ制度は2008年に検証予定 ● ● ●
なお、欧州委員会によると、2008年に行われる予定のCAP検証において、バターに対する市場介入制度などと併せて、クオータ制度の検証および今後のあり方についても議論が行われるとされている。
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