堅調に推移する2006年の豚肉卸売価格


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2006年1〜8月の豚枝肉卸売価格、前年同期比5.4%高 ● ● ●

 2006年のEUにおける豚枝肉卸売価格(市場参考価格)が堅調に推移している。イギリス食肉家畜委員会(MLC)が公表した2006年8月の豚枝肉卸売価格は、前年同月比9.2%高の100キログラム当たり160.2ユーロ(2万4,190円:1ユーロ=151円)と最高値を更新した。豚肉卸売価格は本年1月以降、前年同月を上回って推移しており、2006年1〜8月の月平均価格で見ても149.1ユーロ(2万2,514円)と前年同期と比較すると5.4%高となっている。


● ● ● 上位生産国の卸売価格はいずれも上昇 ● ● ●

 2006年1〜8月の月平均豚肉卸売価格を豚飼養頭数が多い順に見ると、ドイツは前年同期比5.9%高の155.7ユーロ(2万3,511円)、スペインは同9.2%高の160.8ユーロ(2万4,281円)、フランスは同5.2%高の142.9ユーロ(2万1,578円)、デンマークは同4.6%高の127.0ユーロ(1万9,177円)、オランダは同0.5%高の137.3ユーロ(2万732円)と、上位5カ国では軒並み上昇している。なお、ドイツにおいては、本年開催されたサッカー・ワールドカップの期間中、バーベキューシーズンの到来とも相まって、豚肉消費が増えたことも価格上昇の要因とされている。

 ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、こうした豚肉価格の上昇を受け、EU各国は年末に向けた豚肉価格の予測値の上方修正に着手しており、ドイツ、フランス、デンマークなどの主要生産国で当初の予測値よりも豚肉1キログラム当たり0.03〜0.05ユーロ(5〜8円)上昇するだろうとしている。

ドイツの豚枝肉卸売価格(市場参考価格)

資料: European Market Survey


 ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、こうした豚肉価格の上昇を受け、EU各国は年末に向けた豚肉価格の予測値の上方修正に着手しており、ドイツ、フランス、デンマークなどの主要生産国で当初の予測値よりも豚肉1キログラム当たり0.03〜0.05ユーロ(5〜8円)上昇するだろうとしている。


● ● ● 世界的な豚肉需要の増加が主要因 ● ● ●

 こうした豚肉価格上昇の要因として、域内外の豚および豚肉需要が増大傾向にあることが挙げられる。域内では、近年はデンマークやオランダなどから、豚肉需要が高まるドイツやポーランドなどへ生体豚や豚肉の輸出が増加する傾向にある。石油や天然ガスなどの産出量増加で経済成長が続くロシアが、疾病発生に伴うブラジルからの輸入を停止したことに伴いEU諸国からの輸入を増加させたことや、鳥インフルエンザなどへの懸念により他の食肉から豚肉へ需要がシフトしたことも豚肉価格上昇の一因になっていると思われる。

 なお、本年のEU各国の豚肉生産量は今後、ポーランドを除き前年と比較して1%以内の増加にとどまる一方、豚肉の輸出量および域内消費量がそれぞれ2%、0.6%程度増加するとされていることから、中期的には豚肉価格の上昇傾向は続くという見方もある。

デンマークの豚枝肉卸売価格(市場参考価格)

資料: European Market Survey


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