鳥インフルエンザ対策の一部を変更(EU)


 欧州委員会は9月5日、鳥インフルエンザ対策として、ルーマニアからの家きん肉などの輸入一時停止措置の緩和およびドイツにおける試験的なワクチン接種の実施を認める決定を行った。なお、ルーマニアに対する措置については、委員会決定(2006/689/EC)により10月3日より適用されている。


ルーマニアからの家きん製品などの輸入の一時停止措置の緩和

 ルーマニアでは、本年5月中旬に家きんにおける高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が再発したことから、家きん肉や調製品などの輸入一時停止措置の適用対象地域を、それまで感染が確認されていた31県から同国全域に拡大していた。しかしながら、6月10日の感染確認を最後にこれまで新たな感染が確認されていないことから、今回、一部の地域についてはこの輸入一時停止の対象地域から除外することとした。ただし、ドナウデルタ地域およびカルパチア山脈の南部・東部地域については引き続き輸入停止の対象地域となる。これは、同国におけるこれまでのHPAIの感染確認状況を考慮し、秋の渡り鳥の飛来シーズンを迎えるに当たり、予防的な措置として実施される。

 なお、生きた鳥や種卵などの一時停止措置は、引き続きルーマニア全域を対象に実施される。


ドイツにおけるワクチン接種計画

 欧州委員会および加盟国は、ドイツ政府からの、同国中西部のノルトライン・ヴェストファーレン州の3カ所の養鶏施設において、今後2年間にわたって、HPAIウイルスに対するワクチンの接種試験を実施する計画を承認した。この試験は、あくまでワクチン接種の効果やそれが及ぼす影響について調査することを目的とし、試験に供される鳥やそれらから生産される肉や卵については市場に流通させないこととしている。なお、EU域内では、HPAIの感染予防を目的として、オランダおよびフランスが家きんを対象に、また17カ国が動物園などで飼養されるHPAIに感受性の高い鳥を対象にワクチン接種を実施している。


EUでのHPAIの発生は小康状態

 EUでは、本年2月11日に、ギリシャの野鳥においてHPAIの感染が確認されて以降、10月11日現在、野鳥での感染が14カ国(748件)、家きんでの感染が5カ国で報告されている。しかし、これらの大部分は2月から5月までの間に確認されたものであり、6月以降の確認件数は激減している。その後は、8月3日のドイツの野鳥での確認を最後に新たな確認の報告はなく、同病の感染確認に伴い設定されたすべての規制区域は解除されている。

 しかしながら、秋以降、渡り鳥の飛来とともに、再びEU域内にHPAIウイルスが侵入する危険性が高まることから、各加盟国は、これまでのHPAIに対する監視・予防対策を緩めることなく、引き続き実施していくこととしている。


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